増殖だけが目的なら無性生殖のほうが効率がいい!繁殖面白生物学

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性転換する魚たち―サンゴ礁の海から (岩波新書)

繁殖とは

有性生殖では親と少し違った遺伝子をもつことができる。これが無性生殖との大きな違いである。バクテリアはどうして接合という有性生殖をするようになったのだろうか。増殖のためなら二分裂という効率的なやり方ですむではないか。なぜ、わざわざ相手を探して接合するという面倒なことをするのだろうか。その答えは、ウイルス対策である。ウイルスはバクテリアの100分の1くらいの大きさで、バクテリアの細胞膜にとりつくと、自分のDNAを注入する。そして、バクテリアの細胞の中にある材料を利用して、自分自身のDNAをコピーし、そのDNAに記録されている遺伝情報にしたがって自分のタンパク質を合成して、ウイルスの体を作り上げる。こうして一つのバクテリアの細胞にとりつくと、その中で1000倍くらいに増えることができる。

ウィルスとの戦い

寄生するものとされるものの進化の競争においては、変わり身の早いもの、つまり増殖率の高いほうが勝つ。増殖率が低いほうの対抗策はないのか。それが性である。接合によって、自分のもっていなかったウイルス耐性遺伝子をもらうことができれば、自分の子供たちが生きのびてくれる。つまり、突然変異を待たなくても少し違った子を作れるというのが、有性生殖の本質なのである。あらゆる生物がさまざまなウイルスに感染されている。したがって、あらゆる生物に前記の条件が当てはまる。ただし、ウイルスだけは有性生殖をしなくてもやっていける。面倒くさい有性生殖をしなくても、無性生殖と突然変異だけでどんな相手にも勝てる高い増殖率をもっているからである。

ウイルス以外の生物は性を進化させたからといって安心はできない。ウイルスはしたたかである。有性生殖が進化したら、こんどは性を利用するウイルスがでてくる。たとえば、エイズウイルス(HIV)は人間の性行為を利用して感染する。エイズウイルスが感染できるのは、人間の細胞のうち免疫細胞(白血球・リンパ球)だけである。免疫細胞に感染して破壊してしまうので、人間のほうは免疫不全に陥ってしまうのである。

進化

サンゴ礁魚類にはオスが派手な色をしている種類が多い。派手なほうがメスに好まれるからである(配偶者選択)。オスはより派手に、メスはより派手好みにという方向に進化していく。このしくみをランナウェイ・プロセスとよぶ。走り出したら止まらないのである。ただし、自然選択(生存上の不利さ)の歯止めはかかる。

環境=自然が生物の性質を選ぶ(自然選択)というとらえかたができる。

性とは

性比の進化を考えるときのポイントは、集団全体の繁殖効率ではなく、個体ごとの繁殖効率(適応度)である。

性転換は時間的・エネルギー的コス卜を伴う。このコストを補って余りある利益が見込めるときにだけ性転換すべきだということになる。

感想

ゴカイの水槽飼育実験によると、ニ尾を一緒に飼うと、まず大きいほうがメス、小さい方がオスになって繁殖を始める。卵生産を続けたメスは次第にやせていき、一方オスのほうは成長して、やがて両者の大小関係が逆転する。すると、メスはオスに、オスはメスに性転換してしまう。卵を作るにはよりエネルギーを必要とするので、体が大きくなったときにメス役をやるのだと考えられる。

杉なとの風媒花の場合は、数を頼みに受粉を期待することになるので、雄花は大量の花粉を作ることに専念したほうがいい。これがわれわれの花粉症の原因にもなっている。

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