ダイヤ乱れ時の対応がわかる本。「鉄道ダイヤ回復の技術」の書評

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鉄道ダイヤ回復の技術

ダイヤ乱れ時の対応のプロ22名で構成される電気学会「鉄道における運行計画・運行管理業務高度化に関する調査専門委員会」の調査結果をベースに、素人でも分かるレベルにしたもの。

1 列車ダイヤと運行管理

需要予測から施策を立て、要員計画、設備・車両計画、基準運転時分・時隔の設定を経て、列車計画作成に至るまでの流れ。
列車計画(列車運行図表)および派生する車両運用計画、乗務員運用計画、構内作業計画の簡潔に説明。
運行管理の手法として、進路制御の方式(信号、CTC、PRC、ATS、ATCなど)を軽く紹介。

2 事故が起こればダイヤが乱れる

ダイヤ乱れの度合いを大乱れ、中乱れ、小乱れの3種類に分類し、発生理由と対処について簡潔に説明。
小乱れ:急病人、社内トラブル・迷惑行為、雨天、季節トレンド(新入学、着膨れ、忘年会)、イベントなどによる停車時間の延長、接続待ち・交差支障による遅延波及など
中乱れ:急病人での非常停止ボタン押し、線路内への立ち入り、踏切障害物検知装置の動作、隣接線区での事故発生(防護無線)、軽微な車両故障(1ユニット・1車両)、軽微な設備故障(応急処置で修復)
大乱れ:人身事故、車両故障、設備故障(軌道短絡、ポイント不転換)、踏切事故、天災、運行管理システム障害、直通運転時の相手線輸送障害、乗客救出

3 ダイヤの乱れを検知する

要員からの連絡手段として列車無線、指令電話、防護発報、携帯電話。システム監視(運行管理、電力指令)、設備・計測機器(ホームドア、地震計、雨量計、河川水位計、風速計、積雪深計)による検知。車両側・地上側に設置した各種装置(熱、振動・騒音、バランス、監視カメラ)等による検知運用を例示。

4 ダイヤの乱れに対処する

運転整理による運行計画の変更運用について。表4.1に典型的な変更手段の例示一覧あり(15種類)。各変更手段の運用や制約を図入りで説明しており面白い。
小乱れ:間隔調整、発着順序変更、接続解除
中乱れ:待避・始発電車順序・番線・折返し変更、車両交換
大乱れ:運休、運転線路変更、臨時列車運転、延長運転、特発・臨時出区、臨時入区、臨時列車・列車種別変更、山切り、バッテン切り、それらの組み合わせ数パターン。

5 まずは情報を―乗客への案内

利用者視点に立ち、情報提供のあり方と各社の取り組みについて説明。現状利用されているソフト、ハードを一通り紹介。

6 事故は現場だけではない

JR東日本、東京地下鉄、阪神電鉄、京王電鉄、首都圏新都市鉄道、東京空港交通の各指令室の設備や運行管理システムの概要説明。

7 運行管理システムによる支援

8 ダイヤ乱れに強い運行管理システムをめざして

9 大乱れ時の運転整理支援の高度化に向けて

列車の運転整理だけでなく、乗客行動支援(乗客整理?)の観点が重要。センシング、映像情報、旅客流動情報の活用による高度化。

感想

伝統的な列車のみの運転整理だけでなく、利用者(乗客)行動の最適化についても触れられており、世界トップレベルの定時性を支えている技術と運用が鉄道の素人にも総合的に理解できた。一部の技術や考え方は鉄道以外の事業でも応用できそう。

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