モバイル位置情報サービス「位置ゲー」の現状と課題

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位置情報ビジネス ~「位置ゲー」が火をつけた新しいマーケット~ (マイコミ新書)

概要

モバイルの位置情報サービス、特に「位置ゲー」の現状と他のビジネスへの波及効果を分析する。

代表的な“位置ゲー”

位置ゲーとは位置情報を活用したゲームのことで、観光や地域活性化の面からも注目を集めている。

■コロニーな生活 ☆PLUS
通称“コロプラ”。まず起点の位置情報を登録。旅行などで移動した際にGPSで位置を認識させると移動距離に応じ仮想通貨がもらえる。これを元手にゲーム内で街作りが可能。

また観光土産店などで指定商品を購入すると、レアな価値をもつコロカというカードが手に入る。ユーザーは収集目的で遠くても購入に行くため、地味な伝統工芸品がコロカ提携で5倍の売上げになった例も。地域活性化ツールとして注目されている。会員180万人。日常生活で移動が多いサラリーマンが主流だ。収益はコロカ提携手数料などで生み出す。

新展開の「コロプランテ」では、ユーザーはある飲食店のサポートメンバーとして登録。繰り返し通うと、得られるサービスの質が上がる。従来のクーポン形式とは違う“応援形”の送客がユニークだ。また、位置ゲーのプラットフォーム製作にも着手している。

■ケータイ国盗り合戦
マピオンが運営。全国の指定約600地域を制覇するスタンプラリーだ。離島や山間部など遠隔地が含まれ、制覇欲をあおる。会員80万人。戦国衣装の着せ替えアバターなどライトユーザーを飽きさせない工夫も。

クリアに熱中するあまり、各地域を位置情報登録だけで素通りするユーザーがいる。そこでJRなどと組み、実際に滞在を促すツアー企画を増やしている。

■しろつく
モバゲータウン向けの城下町育成ゲーム。移動距離に応じ小判や通行手形、特選品などのアイテムがもらえる。

コロプラに似ているが、ソーシャル特性を生かし、ユーザー同士がアイテムを取引する「交易」や組んで戦う「合戦」などのイベントが可能。ユーザーはカップルやファミリーも多く、ファミレスなど近距離移動で済むような仕掛けを検討中だ。会員は290万人と多い。

■foursquare(フォースクエア)
アメリカのフォースクエア社が開発。位置情報をもとにある施設や飲食店に「チェックイン」すると、ポイントやバッジを集めることができる。該当施設で最も多くチェックインした人にはメイヤーの称号が。ツイッターやフェイスブックと連動し「いまここにいる」という通知が可能だ。

利用者は世界で800万人。APIを公開し、自社サービスの強化より他サービスとの連携で相乗効果を狙う。KDDIと協力し日本での浸透を図る。

チェックインに相当する仕掛けを日本流にアレンジしたサービスに、はてなココやロケタッチがある。

課題

(1)飽きへの対処/とくにチェックイン系はゲーム性が弱い。かざすだけでチェックインできる機能のような、簡便化する方策を検討中。
(2)プライバシー公開への抵抗感/公開する際のメリットとデメリットの落としどころを模索する必要がある。
(3)観光と近所の“間”が未開拓/観光と近所での実績はあるが、それ以外のシーンに広げたい。ロケタッチは都知事選に投票に行くとシールがもらえる企画を行った。

位置ゲーはコミュニケーションを変える可能性を秘めている。いまや「ここにいるよ!」という情報だけで、ユーザーは交流を開始できるのだから。

モバイルサービスに目を向けよ

位置ゲーから見えてきたモバイルサービスの特徴を列挙すると(1)ローカルに強い。その場でしか得られない情報と相性がいい。都市部より地方で活用されている(2)携帯事業者・コンテンツ事業者・ユーザーでwin‐winの関係が築けている。iモードの成功が大きい(3)「空気読み文化」。プロフやリアルの普及は、断片的な情報から相手の心情を推測し対応するという独特のコミュニケーション術を生み出した。

ケータイコンテンツ市場規模は音楽やゲームと肩を並べる。しかも日本のモバイル・ソーシャルゲームは発想がユニークでレベルが高い。その割に注目度が低いのは、PCとモバイルの文化圏断絶、とくにガラパゴスケータイへの蔑視が原因。“ガラケー”への不当な低評価が、モバイルサービスの潜在能力を放棄しIT業界の発展を阻害しないよう願う。

災害時の活用

東日本大震災では、位置情報付きチャットサービスのBelugaは有効だったとの声が多い。コロプラは、発信される位置情報から通信実績を可視化、「この地域が携帯通話可」という情報をまとめている。

ミクシィでは、足跡を付けるだけでも安否の確認になる。位置情報サービスが災害にどう役立つかを検討すべきだ。

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