国際日本・大日本・小日本の3モデルで、中国・ロシア・西洋との枠組みを探る。

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右であれ左であれ、わが祖国日本 (PHP新書)

【まえがき】

日本は過去500年、国際日本・大日本・小日本の3モデルで、中国・ロシア・西洋との距離を探ってきた。

【日本の3モデル】

1.信長の国際日本モデル
外向き(世界)。
日本を超えた地球レベルの理念を追及。
陸奥宗光、西園寺公望。

2.秀吉の大日本モデル
外向き(アジア)。
西洋の影響を排除し、アジアで中国に替わって日本が盟主となることを目指す。
伊藤博文、山県有朋。

3.家康の小日本モデル(内日本モデル)
内向き。
エネルギーを対外進出ではなく、田畑開墾や生活の工夫など内部開発へ向ける。
柳田國男、石橋湛山。

【徳川の小日本から明治の大日本を経て戦争へ】

・日清・日露戦争を経て帝国主義志向へ。
・大日本は天皇制の限界を持つ小日本であり、アジアを取り込む普遍性が無かった。
・日本は、「人類」を持ち出すときの普遍性が欧米に比べて極めて弱い。
・国際社会では国際日本として振る舞い、アジアでは大日本として振舞う矛盾。

【戦後から現在】

・戦後日本の外交とは、ほぼ日米交渉のみを指した。国際社会からは「面倒なことを避ける国」という認識。あとは、①形式的なもの、②国連の下の外交、③ODA外交しかなかった。

・外に対しては存在感のある、内に対しては足るを知る国を目指す。150年ぶりに小日本モデルが復活している。日本のアニメや建築が西洋に受け入れられている様は、江戸期の文化が西洋文化に影響を及ぼしたことを想起させる。やむをえず小さくなるのではなく、リソースを内側に注ぐという小日本モデルが重要。

・小日本モデルの専守防衛戦略はロシア・中国には有効、日米安保の効果もあり、侵略や占領のメリットは少ない。ただし、アメリカには有効ではなく、アメリカの世界戦略の一つとして対応せざるを得ないところがある(集団的自衛権)。

【中庸国家を目指す】

・大日本となろうとする努力は常に必要。
・小日本として内側文化などに注力。
・国際日本は米国に対してではなく、アジアに対してそうであるよう努める。

【各国への対応】

○アメリカ
集団的自衛権は出し惜しみ、憲法9条は延命を。

○中国
万一の紛争に備えたシミュレーションを。
中国は日本に一撃を食らわせることに正当性を感じている。戦闘になったとき、日本の世論は割れるが、中国は割れないので、不利。

○韓国、北朝鮮
韓国には友好を、北朝鮮は崩壊の際に積極支援を。

○ヨーロッパ、ロシア
ヨーロッパは中庸国家として立場近く、友好を。
ロシアはパートナーとなる機運を見極める。

○台湾
心理的親近感を外交カードに使わない。

○日本
戦争とは何か、どのようなときに戦争するのか、短期的にも中長期的にも平和と戦争を学ぶ必要がある。でなければ、再び戦争と軍によって不幸にされてしまう。

感想

3モデルの考え方が面白い。
天皇制によってアジアを取り込む普遍性が無かったというより、(急造の)多民族国家論によりそれを補完しようとして破綻したという感じだと思う(小熊英二)。



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