地方財政の現状の展望

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地方財政システム論 (有斐閣ブックス)

全体的には一般的な地方財政の解説本で、学生にも分かるようにやさしく書いてある。地方財政の現状の展望について分かりやすい解説書。京都府の地域金融機関・中小企業育成の話は面白い。

【概略】
1.地方財政の歴史(地方税規則や戦後のシャウプ勧告など)
2.福祉国家論(NPOとの協働など)
3.分権化と地方政府収入(地方税、補助金など)
4.地方債、地域金融
5.予算(住民参加型となるために)
6.持続可能な発展のために(環境、リサイクル、新エネルギー推進など)

【特記事項】
特に興味深かったのは、4の地方債の中で出てきた「京都府庁による府内地域金融機関の育成」について。

1950年代の京都府政の地域金融政策。
1.中小企業融資制度を設けた
今ではどこの都道府県も大体やってる、預託方式による融資。

2.地元金融機関を育成
京都市内に本店を置く金融機関が無かったので、1950年に福知山市の丹波銀行を府の本金庫とし、翌年には京都銀行と改称、53年には京都市内へ本店移転となる。そして府下市町村の本金庫も受託し、全国有数の地方銀行へと成長した。
また、京都府は信金・信組の育成にも力を注ぎ、これが現在の京都の「信金王国」へとつながっている。

3.地域密着型の金融経営
京都の金融機関は地元企業、ベンチャー企業への融資を積極的に行い、これが当時ベンチャー企業であったオムロンや京セラなどの大企業を生んだ。

1970年代に京都信金が打ち出していたコミュニティバンク構想は、金融庁のリレーションシップバンキング構想を先取りしていたものだった。

ただし今後は公的金融の延長線上ではなく、民間資金をいかに公共に活かすかという話になる。
欧米の金融NPOやグラミン銀行の可能性を指摘して、自治体がそれらを通じて民間資金が公共に流れるよう仕組みづくりを行うことを提案。

感想

地方財政関係の本はややこしいものが多い中、全体的に大変分かりやすく説明されていて好感。
京都府の地域金融機関育成施策を読むだけでも十分価値があった。

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