分析哲学講義の書評・感想

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分析哲学講義 (ちくま新書)

本書は、まさにそのものずばり、タイトルの通りの作品で、『分析哲学』の入門書です。
本書の構成は、まず初めの方で、『分析哲学とは何か?』という説明がされ、その後分析哲学を実際に駆使した議論が多数展開されていくという形になっています。
本書は実に面白い内容なのだけど、非常に難しい部分も多くて、僕自身は半分ぐらいしかきちんと読むことが出来ていません。しかも、読めた部分に関しても、人に説明できるほどきちんと理解できている部分ではないので、ここの感想で書けることというのは結構少ないと思います。この感想では基本的に、冒頭でなされる『分析哲学とは何か?』という部分に焦点を当てようと思います。
というわけで、『分析哲学とは何か?』という話をしようと思うんですが、先程も書いたように、僕は本書の内容を人にきちんと説明できるレベルでは理解できていないので、これから僕が書く文章は本書の意図をうまく掬い取れていないものになるかもしれないし、単純に間違った記述をするかもしれません。一応その辺りのことを考慮して読んでもらえると助かります。
分析哲学というのは、哲学というジャンルにおける一分野です。そのはずです。しかし分析哲学というのは、その手法としての強力さから、現代哲学を一変させてしまったと言われているようです。

『英語圏の哲学の現状を見て、もはや分析哲学が哲学そのものになった、と表現する人もいるくらいです。この表現はちょっと極端ですが、言わんとする精神は明らかでしょう。』

分析哲学というのは、『言語の働きの解明を通じてさまざまな問題に答えるもの』と大雑把に説明することが出来ます。もう少しきちんとした説明だとこうです。

『言語を基礎的で自律的なものとみなし、言語の機構(メカニズム)を何か別の機構のもとで説明するよりも、逆に、言語の機構の解明によって他の機構を説明していくこと』

この逆転の発想は、分析哲学史の中で「言語論的転回」と呼ばれるんだそうです。
さて、上記の説明でもきっとよくわからないでしょう。僕も、分析哲学がどういうものなのかについては、冒頭での話を読んでも全然イメージ出来ませんでした。ただ、ウィトゲンシュタインの言語ゲームも分析哲学の一つの話だと書けば、ちょっとはイメージ出来る人はいるかもしれません。
分析哲学を、それまでの哲学のあり方と比較して説明するとこうなります。
それまでの哲学のあり方というのは基本的に、「私」が「世界」を開く、という発想です。

『バークリー、カント、ヘーゲルといった哲学者に見られる観念論の手法においては―各人の違いを無視するなら―、「私」の私秘的な(私だけが捉えるプライベートな)経験こそが世界認識の基礎となります。(中略)あくまでも世界を開くのは「私」であり、言語はその「私」の道具として使用されるにすぎません。』

「私」というものの体験や価値観や思想、そうしたものが哲学の際の基盤であって、言語はそれらを思考するための道具に過ぎない、ということですね。
しかし分析哲学はまったく逆です。分析哲学の場合、言語というものをつぶさに分析することで世界の成り立ちを説明しようとします。

『言語によって世界が開かれるからこそ、言語の仕組みを見ることで世界の仕組みがわかる。』

これは、具体例がないとなかなかイメージ出来ないでしょう。
例えば、本書で分析哲学的話の初めに出てくるのは、「意味はどこにあるのか」という問いです。
例えば「東京タワー」という固有名詞は、一体何を指しているのか。これは、分析哲学の発想を理解していないと、質問としてそもそも認識することが難しいかもしれませんが、本書を読み進めていくと、その意味は少しずつ分かっていきます。この、「東京タワー」という固有名詞は何を指すのか、という問いに対しても様々な立場があります。「東京タワー」という固有名詞は現実にある東京タワーそのものを指すのだという立場、各人の内側に立ち上がるイメージを指すのだという立場、他にもあったかな?それぞれについて、言語的な分析を加えつつ、その解釈ではどういう風に問題が発生するのか、それらはどんな解釈によって解消されうるかという話を通じて、分析哲学というジャンルにおける様々な立場を本書では解説しようとします。
分析哲学というのは、フレーゲとラッセルという二人の哲学者が祖とされているようです。この二人の、言語そのものを分析するという着想が、分析哲学という新たな分野を開拓していきます。それから、様々な立場のを生み、またラッセルやウィトゲンシュタインなどの哲学者らによる様々な貢献により、分析哲学は発展し洗練され、今に至っています。
本書の著者曰く、分析哲学について日本語で読むことが出来る入門書というのは、どうも見当たらないそうです。

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