これがデビュー作!?ふがいない僕は空を見たの書評・感想

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ふがいない僕は空を見た

本書は、本書収録の「ミクマリ」で、「女による女のためのR-18文学賞」を受賞した著者による、連作短編集です。本書がデビュー作です。
普段ならそれぞれの短編を紹介するんですが、本書は全体の繋がりが見事で一つの長編作品として読めること、また短編をバラバラに紹介しても全体の雰囲気をうまく説明できないと判断したので、長編のように内容を紹介しようと思います。
一応各短編のタイトルだけ下に書いてきます。

「ミクマリ」
「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」
「2035年のオーガズム」
「セイタカアワダチソウの空」
「花粉・受粉」

物語の中心には、高校一年生の斎藤卓巳がいます。自宅で助産婦をしている母親に育てられた卓巳は、子供の頃からお産の手伝いをするような優しい男の子。父親がいないという環境でもきちんと育っていました。
しかしある時から卓巳の生活は一変することになります。友人に連れ出されて行ったコミケで出会った変態主婦・あんずと、日常的にセックスをするような関係になったのだ。とはいえそれは、コスプレをし、あんずの作った台本通りに展開していくという奇妙なセックス。とはいえ卓巳は、ずっと好きだったクラスメート・松永に告白されたのに、頭の中はあんずのことで一杯だったのだ。
そのあんずはというと、ずっといじめられてきた過去を持ち、特に好きだというわけでもない男と結婚をし、子供が出来ないまま今に至っている。二人共特に子供が欲しいというわけではないのに、旦那の母親がどうしても孫が欲しいようで、大金をつぎ込んであんずに不妊治療を受けさせている。
卓巳に告白をした松永は、高校生になったら胸がもう少し大きくなるはずなのに、と思っていた女の子。夏の間に卓巳とセックスをしているはずだったのに、全然そんな風になってない。しかも卓巳のあんな噂を耳にしてしまい…。
卓巳の親友である福田は、母親がいなくなり限界まで最低限の生活をしている。なんとかこの境遇から抜け出したいと思う一方で、やり場のない鬱屈をある行動に向けたりしてしまう…。
というような感じで、高校生の斎藤卓巳を中心に、複雑な人間模様を描いた作品です。

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