魍魎の匣の書評・感想

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文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

「姑獲鳥の夏」を読んだ時に、これは本物だと思った。ミステリーだとかどうだとかではなく、物語として異様なまでに光り輝いていた。
<京極堂>シリーズと言われる作品は、戦後の日本が舞台のようである。京極堂と呼ばれる本屋の主人がいわば探偵であり、謎を解明していく。その周囲には刑事の木場修太郎、探偵の榎木津礼次郎、そして私の一人称で語られる関口。彼等は一癖も二癖もある人間達で、彼等が巻き込まれていく事件から「救う」という形で京極堂が関与する。
また手法はまるで違うが、森博嗣と同じく認識論を展開している点も面白い。
今回の魍魎の匣では、バラバラ殺人やら誘拐やら遺産相続やらが絡まるけど、もうそういった一切の社会性から切り離された物語であり、もはや異常としかいいようがない。
ただその異常さは、たとえば雑然と散らかったように見える部屋を創造させる。外から見た場合その部屋の状態は異常だが、その部屋の主にとっては機能的に整頓されている状態だ、というかもしれない。つまり認識する主体や状況によって見方がまるで変わってしまう、そういう類の異常さであると思う。
始めに異常に汚い部屋を見せられる。そしてどんどんその部屋の汚さに目が行くが、ある人物の示唆により認識が転換し、最終的には機能的な部屋なのだと思う。京極堂の物語はそういう類のものなのだろうし、そのためにあんだけ長い物語が必要なんだろうなと思う。
なんにしてもわくわくする物語だ。

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