道州制の意義、導入がもたらす新たな国家像

2675views折笠 隆折笠 隆

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道州制 (ちくま新書)

概要

道州制の意義や、導入がもたらす新たな国家像をまとめた入門書。
著者は中央大学教授で、行政学・地方自治論が専門。

地域主権国家とは

◆2000年に地方分権改革が始まり、国の業務(機関委任事務)が廃止された。
 ・その変革を地方議員は自覚して、もっと主体的に動こう

◆制度が地方分権になっても、自動的に住民自治が成熟するわけではない。
 ・自治体、住民の意識・力量が試される

◆目指すべき地域主権国家像は、「権限は分権」「業務は中央・地方の融合」。
 ・国の関与を制限し、自治体の裁量を拡大させよ

なぜ道州制なのか

◆道州制のメリットは大きく3つ。
 1…分権国家に導く/地域の個性を生かした政策が可能に
 2…広域化時代への対応/府県は馬・船・徒歩の時代の区割り。現状に合わない
 3…小さな政府を作る/根本的なシステム改編で、行政の無駄を省く

◆道州制には賛否ある。
 ・メリット/行財政基盤の強化、魅力ある地域づくり、など
 ・デメリット/地域格差の拡大、行政が狭域に対応できなくなる、など

◆明治以来の中央集権が制度疲労を起こしている。
 ・1000兆円の借金は、小手先の改革では解決しない
 ・このままのシステムで増税か、道州制で小さな政府を目指すか。選ぶなら後者では

道州制とは何か

◆第28次地方制度調査会答申(06年2月)では以下のように定義される。
 ・広域自治体として、都道府県の代わりに道または州を置く
 ・道州は市町村と連携し、地域行政を自主的・総合的に行う

◆道州制導入のベースには以下の流れがある。
 ・平成の大合併により、府県行政が空洞化(=府県の存在に意味はあるか)
 ・財政再建のため、政府を縮小し地方に権限を委譲する案が浮上

道州制の設計

◆道州制構想にはいくつかのパターンがある。
 ・首長を国が任命する地方庁制や、憲法改正し地方政府を作る連邦道州制など
 ・内政の基点として広域自治体を作る道州制案が現実的ではないか
 ・立法権を州に移譲するかどうかで、道州制のあり方が変わる

◆区割りの根拠は重要。経済規模や帰属意識が関わる。単なる線引き問題ではない。
 ・9道州、11道州、13道州などの案がある
 ・東京の扱いが難しい。独立させれば他の州とのバランスはいいが、首都圏の連携は寸断

◆道州政府の組織は以下のイメージ。
 ・州知事と州議会が対等にけん制する二元代表制。州知事は直接公選
 ・1州議会は80名程度で十分。現状の都道府県議総数より2000名削減可
 ・州知事の下に置く経営局を要に、経済産業や教育などの各本部を設置
 ・国は一部を除き、州に対して指揮監督を行わない

◆移行への課題は多い。区割りひとつにしても合意がない。
 ・理念を示す道州制基本法をまず制定
 ・続いて、具体的な業務を定める道州制実施法を経て、道州制法を制定し移行を

道州制と税財政

◆地域間の均衡優先から地域の自己決定へ、という動きは正しい。
 ・国への依存が高いため、自治体財源は国の制約を受けている。課税権を地方へ
 ・ただし、現状では自治体間の財政不均衡が進む。解消手段の確保が必要

◆道州制の制度設計は、政府機能を再構築する。
 ・国が介入するのは、地域で解決できない問題のみに
 ・自治立法権を得て初めて、道州が県を超える権限を手にする

◆具体的な財政案は以下の通り。まず地方の自立に主軸を置き、それから格差是正を。
 ・地方交付税と補助金は廃止。国の束縛を断ち切るため
 ・各自治体が課税自主権を持つ。税目や税率を独自に決定
 ・国の財源は道州が出し合う。その負担額で財政格差を調整
 ・個別に共同財源を設け、その金で格差を是正する手もある

東京をどうする

◆東京は突出した経済・人口規模があり、道州制での位置づけが難しい。

◆東京の都区制度そのものに課題が多い。
 ・区は法人税などを徴収できず(都が徴収し再分配)。都区に主従関係が残る
 ・東京23区を東京市にする、東京特別州を作る、などの提言がある
 ・道州制への移行とセットで「東京都市州」の設置はどうか 

大都市をどうする

◆都市の能力を効率的に生かす「大都市制度」が、日本はない。
 ・現在の政令指定都市制は、府県と市の業務区分けにとどまり中途半端
 ・私案としては、東京などの大都市は都市州として、他の道州と同格にすることを望む

◆旧来の国内再分配による成長はもう無理。大都市が国際競争力を磨き日本を牽引せよ。

変わる海外の自治制度

◆世界的な潮流は、1…二元代表制への移行、2…自治組織の選択化。
 ・イギリスでは、首長公選の是非など行政組織の形態を各自治体(住民)が選択できる

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