噂の女の書評・感想

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噂の女 (幻冬舎アウトロー文庫)

本書は、かつて一世を風靡したスキャンダル・反権力雑誌「噂の眞相」のデスクだった著者が書いた、入社してから有罪判決を受けるまでのことを描いた作品です。
僕は「噂の眞相」という雑誌は、名前は聞いたことがあるという程度の認識しかなかったです。凄い雑誌だったというのはどこかで聞いたことはあったけど、僕の中のイメージではどちらかと言えば低俗な感じがしていました。まあある意味で低俗と言えば言えるのかもしれないけど、本書を読む限り、高尚な雑誌だったんだなぁと認識を改めるに至りました。
「噂の眞相」というのはとにかく反権力というものを掲げた雑誌です。普通雑誌というのは、どこかから広告をもらっているために、その広告主のことは悪く書けない。広告を扱う電通みたいな会社も批判できない。また検察や皇室を批判するのはマスコミのタブーとなっていたし、あるいは自社から本を出している作家の批判なんかもちろん出来るわけもない。
しかし、「噂の眞相」というのは、そういうタブーとは完全に無縁な雑誌だったのだ。変なところから広告はもらってないから広告主や電通に気兼ねすることもないし、反権力を謳っているから検察や皇室批判もバンバンやる。「噂の眞相」にも作家の連載コーナーはあるんだけど、連載中は批判しないけど連載が終了したら批判してオッケー、というとんでもない編集方針を採用していた。それぐらい、タブーなき雑誌だったのだ。
またこんなこともあったらしい。ある時NHKの看板キャスターのスクープが写真週刊誌からもみ消されたということがあった。いろいろ調べていくと、そのもみ消しに、「噂の眞相」の名物編集長である岡留氏の友人が関わっていたのだという。そこでとりあえず岡留に伺いを立ててみるとこんな返答。
「全然問題ないよ。記事に圧力をかけるような記者の行為は許せないし、俺がそういう言論介入を吉良っちるのも知ってるだろう。ノープロブレム!」
編集長がこんな人間だったから、「噂の眞相」というのは続いていたんだろうなと思います。事実、マスコミが扱えないタブーをバンバン書いている「噂の眞相」はとにかく、業界筋からのウケがものすごくよかったようです。
本書は、そんな孤高の雑誌であった「噂の眞相」編集部に22歳で入社した著者が、どんな感じで雑誌作りをしていたのかという話がメインになっていきます。
著者が入社した時点で、編集長の岡留を除けば、編集部員は著者と副編集長の二人だけ。そんなところから「噂の眞相」は始まっていきます。自分の時間なんかまったく持てないような殺人的な日々を過ごしながら、著者は自分がスキャンダル雑誌にのめりこんでいくことを感じていきます。もともとネタ元がいるわけでもない著者は、いつしか得意分野になっていた文壇ネタで様々な記事を書いていくことになります。
その後、副編集長だった川端が一旦戦線を離脱したり、編集部内の人間関係が極度に悪化したりと様々な危機を迎えながら、一方で新たな戦力を獲得しつつ、なんとか別冊も含め雑誌を発行していくことになります。
そしてここから、本書後半のメインである法廷闘争の話になっていきます。
きっかけは、和久俊三という作家を取り上げたことにはじまります。和久俊三は、作家になるために弁護士資格を取得したという変わった経歴の持ち主なんだけど、その性格も相当に変わっていたそうです。和久俊三の事務所の元スタッフや元妻から話を聞くことが出来、和久俊三がいかに酷い人間であるかという記事を「噂の眞相」に載せたわけです。
すると和久俊三は、「噂の眞相」に対して刑事告訴し、一方で京大卒という繋がりをフルに使い法務省や検察庁を動かし、最強の捜査機関と言われる検察庁から捜査を受けることになってしまったようです。

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