なぜ君は絶望と闘えたのかの書評・感想

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なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日 (新潮文庫 か 41-2)

本書は、今後司法の歴史にも刻まれるであろう「光市母子殺害事件」の遺族である本村洋さんを、およそ9年間に渡り見続けてきた著者が描いた、本村さんの軌跡の物語です。
山口県光市で起きた凄惨な事件。妻は殺された後で死姦され、生後11か月の娘まで無残に殺された。犯人は18歳の少年。重く圧し掛かる、少年法の壁。
当初本村さんは、ただ何もせず何も発言せず裁判を傍聴し、人知れず終わっていくような、そんなことを考えていたようです。しかし周囲の人の励ましや、あるいは少年法に対する疑問、犯罪被害者の権利が踏みにじられていることへの不満などが重なり、やがて司法を巻き込み大いなる変革を突きつける論客となっていくのです。
元々本村さんは、少年法というものについてほとんど知りませんでした。そして、知れば知るほどおかしな法律であると思うようになりました。何故少年だからという理由だけで加害者であるのに匿名報道なのか。無期懲役でも何故7年で出てこれるのか。
また裁判についても疑問を覚えるようになります。何故遺影の持ち込みは禁止されるのか。何故裁判官はそれについて何も説明をしないのか。被害者が2名であれば通常は無期懲役だという、それまでの判例との整合性を合わせるかのような刑の決め方にも到底納得することが出来ませんでした。
本村さんは、自身が好奇の目にさらされることは分かった上で、自分の率直な疑問や不満をメディアを通じて発信するようになります。その後、犯罪被害者の権利を勝ち取るべきだと考える人々に賛同し、犯罪被害者の会の立ち上げに協力し、次々と改革を行っていくことになります。
そしてついにその日がやってきます。一審でも二審でも判決は無期懲役だった。最高裁での差し戻しが決定し、その後出た判決が死刑。被告が少年であり、かつ被害者が二名なら無期懲役というこれまでの判例を打ち破り、本村さんは死刑を勝ち取ることになります。
そんな一人の青年の闘いの物語です。

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