人の脳はどのようにものを知るか?「知っている」とはどういうことか?

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確信する脳---「知っている」とはどういうことか

世間には確信が溢れている。確信や信念は意識的で意図的な推論から生まれる論理的で正当な唯一解であると感じられる。しかし、確信は意識的な選択で無く、思考プロセスですらない。それは脳のメカニズムから生じる感覚だ。

01.「知っている」という感覚

  既知感について。紙上での体験として詩を読ませる。
  いくつかの文が羅列してあるが、何の事か解らない。その後、ある単語を
  読ませると、文の羅列は、その単語に関する文章にしか読めなくなる。
  紙上で未知から既知への移行を体感する。

02.人はどのようにものを知るか

  正しく感じられるとは神経生理学的な事象なのか以下を引用。
  ①記憶の実験:人間は記憶を改竄するが、その事に気がつかない。
  ②認知的不協和音:人間は論理に矛盾する観念を捨てるよりも、
           「自分はわかっている」という感覚を正当化する意見を採用する。

03.意志で確信はできない

  ラットの偏桃体を刺激する事によって、恐怖刺激を引き起こす実験。
  脳損傷により、恐怖を感じなくなった患者の話など。

04.心の状態の分類

  心理学者は一次感情、二次感情(社会的感情)といった分類を使う。
  確信は知識の状態と無関係な一次感情と言った方が神経生理学的
  真実に近い。感覚ならば意識的に操作できない。

05.ニューラル・ネットワーク

  人の脳内のニューロン(神経細胞)の仕組みについて。
  隠れ層という用語の提示。
  アマゾンの例
  ⇒ 入力 :本をクリック
    隠れ層:クリックされた本の関係に荷重をかける。
    出力 :「おすすめ商品」を表示。

06.モジュール性と創発

   モジュール:高度に個別化した神経細胞の集合。
   階層構造 :各モジュールはチームとして動く。
   創発   :意識、志向、目的、意味は要素を持たない
         何十億というニューロン間の相互作用から生じる。
 

   ⇒モジュールをレンガとすると、階層構造が建物となる。
    建物を家と呼ぶには創発のような複雑な相互作用が必要になる。

   モジュールが不適切な活性化をした例として共感覚を提示。

07.思考はいつ始まるか

  野球選手は何故ボールを打てるのか?結論として打者は観察したボールでなく
  事前に決定した確率によってスイングしている。
  しかし、打者はバットスイングをコントロールしているという。
  時間が脳内で再編成されている。時間的な順序の再編成という事象は
  解明されていない。

08.知覚的思考

  エピソード記憶と意味記憶。記憶だけを必要とする思考を意味思考。
  判断や論理を必要とする思考をエピソード思考(知覚的思考)とする。

09.思考の快感

  学習の報酬としての「既知感」について。抽象的な思考は、結論が
  出ない。進化の過程で抽象的な思考に対する報酬として、既知感は
  適用されたのか?思考と正確感をつなぐ
  ネットワークは一旦確立されると簡単には崩れない。
  自分が正しいと主張する人間は既知感に中毒しているのか?
  だとすれば麻薬患者と変わらない。

10.遺伝子と思考

  人間の思考は遺伝子によってどの程度影響を受けるのか?
  遺伝子が思考に影響を与え、それが、人により異なっているのならば、
  同一の情報を与え、最適な視点から考えるよう誘導すれば理性により
  全ての人間が同じ結論に至るという思想は誤っている。

11.思考を支える感覚

  思考は感覚情報を必要とする。思考が正しい、確実であるという感覚がなければ
  人は思考出来ない。

12.確信の二本の柱―合理性と客観性

  性格を変えられるという観念の基には自分が不合理な思考を
  持っている場合、それを認識できる能力が前提とされている。
  自由意思の概念の前には心を生み出した生物学的プロセスよりも
  上位の客観的な部分を仮定している。
  愚かである事を認められない。心の限界が心の限界を認める事を妨げる。

13.信仰

  「理性」対「信仰」の研究を科学的な見方に疑いを抱かない人間が行ったとして
  それが客観的な研究といえるのか?
  因果性が心の錯覚にすぎないかは知り得ない。

14.心が生み出す哲学的難問

  人間が錯覚や誤解の支配を受ける心的感覚を通じてしか自分の考えを認識出来ないと
  したら、哲学的難問は脳が作り出した見せかけの知覚ではないか?
  著者は哲学にしても自由意思にしても、それが、意識の及ばない心的状態に
  どのように影響されるか考えるべきとした。

15.結論

  人の思考に関して、思考に先立ち既知感が先にたち、思考を気付かせてくれる。
  しかし、既知感は意識的であるように感じられる。

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