神経科学による洗脳技術

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マインド・ウォーズ 操作される脳

今後数十年の内に、神経科学から派生した技術が実生活に適用される?そうした技術のほとんどは消えてしまうか、予想外の結果をもたらすだろう。適用される結果、社会倫理・国家秩序その他にどのような影響があるか?

第一章 DARPAが頭から離れない

DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency):
米国国防総省 国防高等研究計画局。1958年のソ連のスプートニク打ち上げに呼応して設立。科学の潜在力の徹底追及を使命とする。職員約300名の半分がプロジェクトマネージャーであり、自らの裁量で各種プロジェクトの立案を行う。PMは公募制で任期は数年間。民間人がほとんどで高い科学的見識、研究能力、管理能力が要求される。

DARPAによって実施されている様々なプロジェクト。神経科学への技術革新を促進する。

第二次大戦以後、国家安全保障における科学の役割が重視されるようになり、科学研究に国からの資金が拠出される事となった。対テロ戦争のために研究された技術が民間に適用される日が来る。

第二章 機械と人間たち

脳科学の目的:脳内に1000億存在するニューロンと主観的意図との関連付け。

人間を機械化する事についての尊厳の問題について記述。

第三章 マインド・ゲーム

アブグレイブ刑務所での虐待行為について記述。その他の様々な洗脳に関する実験について。ほとんどが対象に屈辱感を与える事を特徴にしている。

著者は21世紀において神経科学の進歩により、屈辱を与える行為ではなく、より有効に人間の行動を予測・定義・操作する発見を予見している。

第四章 脳についてどのように考えるか

脳(BRAIN)と心(MIND)をどのように共存させるか?

①唯物論
 心は脳の各部分の総和による。全ての思考、行動、感情、情動は脳内の
 特定な生理的活動の結果である。
 著者は基礎的で物質的な実態が抽象的な思考や情動を生み出す事を
 不可解であるとしている。
②二元論
 世界は「心」と「物質」に分けられるとしている。

デカルトの著書『省察』における主張①我思う故に我ありという自明な真実を基礎に世界を理解する。我を独立して安定した場所とする。思考する自己を世界の中心にする。②自分の心を知る以上に簡単な事は無い。自分の感覚が間違っている事があっても常に間違ったままである事は無い。

神経科学はデカルトの哲学への疑問である。

コネクショニズム:脳内部での接続(コネクション)から複雑な過程が
         生じるとしている。
         以下の2つの論の対立から生まれた。
         局在論:脳は領域によって異なる機能を持つ。
         全体論:脳は全体として機能する。

第五章 ブレイン・リーディング

fMRI等の脳内可視化技術を用いれば、脳機能と思考・行動との結びつきの体系化が可能?嘘発見機についての記述。

この辺りの技術は、まだまだ未熟で何が可能で何が不可能なのか良く分からない状態。

第六章 より優れた兵士を「構築」せよ

眠らない兵士を作り出すについて記述。栄養補給や知的能力向上やら。
忘却する事は悪い事ばかりでなく、強すぎる記憶力は外が大きいとする意見。シカゴリハビリテーション研究所での脳卒中患者の運動野に電極を埋め込む実験。正常な人間の知的能力も向上する可能性がある。

直流刺激(DCS)、直流分極(DCP):頭皮上に電極を置いて電流を流す。
経頭蓋磁気刺激(TMS):磁気コイルを頭部にかざして、磁気パルスを大脳皮質に送り込む。

TMSは、脳の特定領域に絞った刺激が可能。DCは発作を誘発する危険が少ない。

他にも偏桃体を操作する事で恐怖感やらトラウマを癒す技術について、これらは「治療」なのか「増強」なのか?

フランシス・フクヤマの意見
 ①高い能力を持つ存在を生みだすと「平等」が脅かされる。
 ②長い年月の間に獲得した人間の微妙なバランスを崩す。

著者は自らを中道としている。新技術の研究を禁止するのでなく、監視と制御システムの構築を実施すべきとしている。

第七章 非致死性兵器を開発せよ

音響やら臭いやらを利用した人を殺さない兵器の研究について。裾野が広いらしい。作成した後の実験だとか、法理的な取り扱いだとかについて記述。

第八章 ニューロセキュリティの倫理を目指して
ニューロセキュリティ:
 ①脳と神経系を対象とする科学技術を公共の利益とするための
  管理方法
 ②民主国家が敵対者に対して自衛するために開発すべき手段

科学者達は自分達の研究がもたらす結果に対して取り組むべきとしている。国家の安全保障と民間での活用とのデュアルユース問題。科学研究の成果が戦争行為に利用されるのではないか?

危険に満ちた社会から身を守るための技術と、自由が影響を受ける事のバランスを保つ?秘密主義ではなく、透明な証明プログラムによって大多数の人間を安心させる。

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マインド・ウォーズ 操作される脳

  • ジョナサン・D・モレノ
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