ツリーハウスの書評・感想

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ツリーハウス

藤代家は、祖父の代からずっと、翡翠飯店という中華料理屋を営んでいる。家族は、多い。三世代の家族が狭い建物の中で、ひしめき合うようにして暮らしている。
良嗣には、この家族が奇妙に映る。もちろん、昔はそんな風には思わなかった。自分の家族のことしか知らなかったからだ。しかし、少しずつ、その違和感を覚えるようになっていった。
ウチの家族は、互いに干渉しなさ過ぎる。
食べ物屋をやっていたからというのはあるだろうけど、家族揃って食卓を囲むことなんてほとんどなかった。家族の誰かがしばらくいなくなっても気にしない、突然戻ってきても何事もなく受け入れる。時には、まるで見知らぬ人が一緒に生活していたりする。
親戚についても、良嗣はほとんど知らない。祖父母は、自分たちの生い立ちについてまるで語ってこなかったし、彼らがどこで出会ってどうやってこの店を構えるまでになったのか、まるで知らない。
ウチの家族には、根っこがないような、そんな気がしてしまう。
ある日、祖父が静かに死んだ。もう長くないと分かっていたから慌てることはなかったのだけど、家族の不在をあっさり受け入れるウチの家族は、やっぱり何かおかしいんじゃないかと思った。
祖父の死後、祖母の様子がめっきり変わった。「帰りたい」という祖母の呟きが満州のことなのではないか、という叔母の指摘から、良嗣は祖母を満州へ連れていこうと決める。何故か一緒についてきた叔父と共に中国へと向かうが…。

ツリーハウス

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  • 角田光代

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