チーム・バチスタの栄光(上) の書評・感想

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チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

本作は、病院が舞台の医療ミステリーです。
主人公は田口という医者。しかしこの田口は、僕と同じくかなりアウェーな人間で、勤め先の病院でも、かなり特殊な位置にいます。
その名も、『愚痴外来』。正確な名称は『不定愁訴外来』というのだけど、『田口外来』をもじった『愚痴外来』という名前が通称になっています。
この『愚痴外来』、一体どんなところかと言えば、器質的な問題は一切ない、つまり病気は完治していると判断されるのに、それでもまだ痛みやなんかを訴える患者の『愚痴』をただ聞くだけという、そういう変な外来なのです。もちろん出世コースでも何でもないわけだけど、病院として一定の役割を持っているし、ある程度その意義も認められていて、かつ田口本人としてもそれなりに満足しているという、そういうどうみても順風満帆だった田口にある日、病院長から奇妙な以来が舞い込んできました。
『ある手術が医療ミスかどうか調査をして欲しい』
田口が勤める東城大学医学部付属病院には、『チーム・バチスタ』と呼ばれる、バチスタ手術のプロフェッショナル集団がいました。バチスタ手術というのは、肥大した心臓を切り取って小さくして、元の機能を取り戻すというような、かなり難易度の高い手術で、その手術で世界中でも指折りの技術を持つ桐生医師が中心となっているチームです。チーム・バチスタの手術は、成功率100%を誇る驚異的なものだったにも関わらず、最近術死(手術中の死)が相次ぎ、自分のミスとは思えない桐生本人が病院長に調査を求めた、という経緯がある。
その依頼が、何故リスクマネージメント委員会ではなく、万年講師でしかも外科の知識にはほとほと乏しい田口なんかに回ってきたのかは病院長からの説明でもまだ謎だったが、とにかく田口は、過去のカルテを見たり関係者に聞き取りをしたりして調査を開始する。
しかし、何も出てこない。医療ミスらしい痕跡はないし、無論殺人のやれる隙間などどこにもない。一体これは不運な事故なのか?それとも誰も気づいていない医療ミスなのか?それとも、悪意が引き起こす悲惨な殺人なのか?

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