少年少女漂流記の書評・感想

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少年少女漂流記 (集英社文庫)

本作は、作家である乙一と漫画家である古屋兎丸とが共同で書き上げた漫画です。
単純に、乙一が原作、古屋兎丸が作画というわけでもないようで、ファミレスで毎回二人で白紙の状態から話し合いを始め、そこで大筋の流れが決まると、乙一がそれをプロットにし、古屋兎丸が漫画にする。乙一は話し合いの内容をそのままプロットにするのではなく多少変えたりもし、古屋兎丸の方も乙一の原作を多少変えたりとで、話し合いの内容から漫画の内容が大幅に変わることもあったようである。
そんな手法で作られた本作は、連作短編という形態の漫画になっています。それぞれの内容をざっと紹介します。

「沈没記」
学校に行きたくない少女の物語。街全体が水没してしまうという妄想の中にしばらく溶け込む。

「アリの世界」
アリを飼っている少年の話。自分が好きな子が自分のことを好きだという妄想に囚われてしまう。

「魔女っ子サキちゃん」
自分は6歳の少女で、魔法で高校生の姿になっているのだ、と信じ込んでいる少女の話。魔法少女になるためのポポロンステッキをいつも手放さないのだけど、それが紛失してしまう…。

「学校の中枢」
落ちこぼれの自分と、トップクラスに入ってしまった友人との話。トップクラスである1組に行きたいのだけど、勉強への劣等感から奇妙な妄想にとりつかれる。

「お菓子の帝国」
好きな人のために15キロのダイエットを成功させた少女は、しかし夢の中で見たある未来の光景のために、お菓子という敵を殲滅するためにまたお菓子を食べ始めるようになってしまう…。

「モンスターエンジン」
バイク事故で死んでしまった友人と夜の空を失踪する話。昔子供の頃に描いた想像のバイクにまたがって、二人は夜を疾駆する。

「○様を見つけたら(○は雲が三つ、龍が三つで構成される一文字の漢字で「タイト」と読む)」
お金に貪欲は母親を持つ少女の物語。すべてを壊して欲しいと願い、それによって「タイト様」を呼び寄せてしまう。

「竜巻の飼育」
学級委員長で友達がいない少年の物語。ホームルームで「真の友情」について話し合いたいのだがうまくいかない。ある日、竜巻の子供を見つけて飼うことにするのだけど…。

「ホームルーム」
最終話。竜巻に飲み込まれた教室の中に取り残されたこれまでの主人公たち。彼等は地上に戻りたいのか、あるいは戻りたくないのか、委員長を中心にしてホームルームが開かれる。

そして、巻末に、乙一と古屋兎丸の対談が収録されている、という感じです。

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