子どもの脳にトラウマが与える影響を11の事例で考える

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犬として育てられた少年 子どもの脳とトラウマ

1.ティナの世界

  4歳から6歳までの間、ベビーシッターの息子(16歳)から
  性的虐待を受けていた少女の話。
  ラットを使った実験―人間が子ラットにストレスを与えた場合、
            数分のものでも影響が大きい。 
            脳の発達時期に短時間でも大きなストレス受けると
            ストレスホルモンのシステムに変化が起こり、
            大人になっても戻らない。
  3年以上、著者はティナを診察し、学校で不適切な行動を改善させたと思った。
  しかし、10歳になったティナが学校で少年にフェラチオをしている
  ところが見つかった。彼女の治療は失敗していたのだ。

2.君のペースで

  目の前で母親を殺された3歳の少女の話。
  裁判で殺人の証言をさせる。
  再演という治療。完全に無力だった体験をコントロール出来たように頭の中で
  置き換え、患者を予測可能な安全な状態に戻す治療方法。

3.天国への階段

  宗教団体:ブランチ・ダビィディアンの信者の子供達の話。
  結局、事件は集団自決にて終了する。
  カルトの集団力学がブランチ・ダビィディアンを終末へと推し進めるのと同様、
  司法組織にも集団力学が働き、自分たちの世界観や経験に合わない情報を
  無視していた。
  社会的な生物である人間が、これまでと違う事柄を本当には理解出来ない事の一例。
  (引用)
  恐ろしい状況に直面した人間は大脳皮質を最初に閉ざす。
  それが生命の危機を乗り越えるのに役に立たない能力だからだ。
  そして長期間の恐怖により脳に永続的な変化が起こる可能性がある。

4.接触への飢え

  育たない少女ローラの話。
  ラント症候群と言い、身体的な世話をしてもらえないと成長ホルモンが分泌せず、
  食物を得られても正常に成長出来ない。
  他の親と一緒に生活し、成長は出来た。
  しかし、子供が育つ過程では脳に多くの刺激を必要としており、
  この「感受性のある時期」を逃すと発達が途中で止まってしまう可能性がある。
  生まれたての猫の目を生後数週間閉じさせておくと目に異常は
  なくともその猫の目は見えなくなる。視覚回路が正常な経験と繋がる事は出来ない。
  ネグレクトにあった事で脳の中の人間関係や社会性に関わる部分に影響が残っている。
社会的な対応がぎこちなく不自然になったという。

5.冷えきった心

  16歳の時に少女二人を殺害したレオンの話。
  著者の調べでは、幼少期のネグレクトが共感能力の低下や暴力的な行為の下地を
  作った。遺伝的なものではない。彼の兄は正常だ。では環境なのか。
  もっと酷い虐待を受けた人間は大勢いる。
  「バタフライ効果」:小さな選択がこの結果を導いたのではないか。

6.犬として育てられた少年

  犬と共に育てられたジャスティンの話。
  退院から2年後は幼稚園に通うまでに成長した。
  生後、1年間の間は祖母に育てられた事が大きいのではないか。
  子供には実年齢ではなく、発達段階に合わせた対応が必要との話。

7.悪魔教団パニック

  悪魔を崇拝している教団の話が捏造され、記憶戦争が起こった話。
  実際には起こっていない虐待があったことになってしまった。
  ギルマーという町が2つに割れ、6人もの人間に有罪判決が下されてしまった。  
  人間は社会的な生物で感情的な影響を受けやすい。
  訓練や論理的思考や知性は集団心理の前には何の力も持たない。
  原始時代に他人の感情を理解出来ない人間は生きられなかった。その名残なのか?

8.カラス

  母親の恋人からレイプされていたアンバーの話。
  トラウマによる解離のため、意識不明になった。
  解離:自分が自分でないような感じ。
  虐待から逃れなれないと感じたアンバーは状況をコントロールするため、
  挑発的な態度をとり、恐怖をスケジュールに組み込み日常生活における影響を
  最小限にした。虐待の間は自分の中にある安全な世界に入る。
  著者は自己催眠により、落ち着く方法を教えた。
  ①自分の呼吸を意識。
  ②深呼吸しながら1から10まで数える。
  ③息を吸い込む毎に階段を降りるところを想像する。
  ④階段を降り切ったところにドアがあり、そこが安全な場所。

9.「ママは嘘をついている。ママにやられた。警察を呼んで」

  ミュンビハウゼン症候群の話

10.子どもたちの優しさ

  ロシアの孤児院にいたピーターの話
  彼は赤ん坊の倉庫といった場所で育ち、孤児達の間だけで通じる原始的な言語を
  持っていた。(プサメティコス王の話)
  人間の脳は3歳までに大人の85%の大きさに達し、その間の影響は大きい。
  彼の幼稚な行動がネグレクトによるものだと彼のクラスメイトに説明し、
  人間関係が正常なものとなる事で高校生になるころには人目につかなくなった。

11.コミュニティの癒し

  幼少期にある自分の無力感や痛みを和らげるコミュニティーの話

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  • ブル-ス・D.ペリ-,マイア・サラヴイッツ
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