ソーシャルブレインズとは何か?

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ソーシャルブレインズ入門――<社会脳>って何だろう (講談社現代新書)

第1章 ソーシャルブレインズとは何なのか?

ソーシャルブレインズ=人間が社会で生きるために必須な脳の働き。
           社会脳。
研究として、多くの人間=脳が形成する社会を前提として、社会に組み込まれた状態の脳を調べる。

大脳皮質は、脳表面に皺を作る事で表面積を広げる。脳はカラム構造によって、毛足の長い絨毯を横から見たような構造になっている。カラムを増やす=人間を増やす、カラムの性能を上げる=人間の性能を上げる。脳の戦略としてカラムを増やす事で性能を上げる。
カラム構造:脳の機能単位。円柱状のカラムには神経細胞が
      6層になって詰まっている。
モジュール仮説に対する批判=脳の特定部位に特定機能を当て嵌める
              ため、階層構造を意識し難い。
神経科学においては、人と人の「つながり」を研究する事は、予測困難、主観を導入してしまう、再現性が無い等の理由で困難だった。現在では、脳活動の測定技術、データを解析するコンピュータの進歩から脳と社会の関係を解析出来るようになっている。人間の脳は「社会」によって制約される。社会は多くの脳を束ねる階層性ネットワークであり、脳は社会に組み込まれるサブシステムとする。

第2章 これまでのソーシャルブレインズ研究―顔、目、しぐさ

視覚的な社会情報の認知機能:顔や表情、しぐさの認知。
心理的な社会情報処理   :心の問題、他者との関係性欲求。

人間社会では、暗黙の了解(目の動きの認知等)を全員が持っている事が前提となっている。機能が無い相手は機能不全と思うのでなく、「性格」のせいであるとされてしまう。(偏桃体損傷患者は相手の目を見て情報を取得する事が苦手。注意の欠如。)
ミラーニューロンについての言及あり。便利な仮説としつつも、特定部位が特定機能を担うとする思考に懐疑的。実験方法にも問題があるとしている。

非言語的コミュニケーションや自己・他者認識など、人間の認知は環境状況によって、無意識に変容する。その場に適用して変容する認知が何故、安定した社会を構築可能なのか?

第3章 社会と脳の関わり―「認知コスト」という視点

ソーシャルブレインズの原理:行動規範(ルール)を変更せずに
              社会環境を維持しようとする。
⇒人間の脳はチンパンジーの4倍の重さだが、脳への血液量は2倍にしかならない。
【猿の実験】
ここで、著者は例として猿の実験に言及。
猿に、自分の右側に置いてあるボタンを押すと餌が貰える事を教える。
  ↓
猿は右手でボタンを押すようになる。
  ↓
ボタンの位置を左にずらす。
  ↓
猿は不自然な体勢で右手でボタンを押す。
  ↓
ボタンの位置を左手でなければ押せない位置にずらす。
  ↓
猿は何も出来なくなる。

⇒著者は、当初は猿の「頑固さ」を原因と考えた。
⇒そうではなく、認知の問題なのでは?
 猿は物事を一般化して、あらゆる事に適応する理論を考えるのでなく
 個別の事象に遭遇する度に、新しい解決策を模索する。
 この場合、「ボタンを押すと餌がもらえる」という一般的な理論を
 構築するのでなく、詳細な手順を記憶してしまう。
⇒猿は新しい物事を記憶するのが困難となる=認知コスト。

ルールを受け入れる事で認知コストを削減可能。社会的ルールは上位からトップダウン的に与えられるだけでなく、下位がルールを認める事で相互的に成立している。
著者は「ミルグラム実験」や「スタンフォード監獄実験」について言及。アブグレイブ収容所の虐待と合わせて人間が状況の影響を受けて変質する事を記述。倫理は脳内に存在するのでなく、社会との関わりの中で成立する。人間は脆弱な倫理と無意味な保守性によって左右される。絶対的な倫理は構築不可能?常に変化する社会脳を複雑性を回避して単純な理論を構築する科学は、どうのように研究可能か?

第4章 僕はどうやってソーシャルブレインズを研究しているか

著者は関係性に着目している。関係性=ネットワークの各要素が、どのようにつながっているのか。関係性を調べるのに、観察容易な小さな社会単位を研究するとしている。ここでは、2頭の猿の相互作用の研究について記述。多次元生体情報記録手法によって猿の眼球位置、瞳孔径、視野画像、筋電図、呼吸、心拍を計測。眼球位置情報の記録に自信があるらしい。
ECoG電極:皮質脳波を計測する電極。長期的に神経活動を計測可能。
⇒長期的に情報を取得する事で、脳の各部位の動きに特定法則や関連性、再現性があるのかを判断可能とする。

著者は計測対象の脳と観察者の脳が同列であり、相互に理解し合う思考が社会脳を理解する方策であるとしている。

第5章 ソーシャルブレインズ研究は人を幸せにするか?

    ―幸せとリスペクトの脳科学
人間が生きていくのに、自分の存在を肯定する関係を重要だとする。リスペクト=無条件な存在肯定。他者との関係では相手が示すリスペクトの有無が大切。利益追求とリスペクトが共存する事で幸福な社会になる。

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