古来からロボットに作り続ける背景。人とロボットの関係とは

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ロボットは涙を流すか (PHPサイエンス・ワールド新書)

第一章 ロボットは予言する

ロボットという発想は古来からあった。
 ・紀元前、ユダヤ教の伝承のゴーレム
 ・紀元前八世紀半ばのイーリアスに登場する黄金製のロボット
 

古来からロボットに作り続ける背景には「人間とは何か」という問いかけがある。

画学生だった著者の経験として、描くという事は対象ではなく自分の心の状態をキャンバス上に再構成する事。同じように、ロボットを作る事により自分自身を再構成する。技術は常に人間の作業を機械化する事で発達してきた。その都度、人間という概念も再構成される。

SF小説の重要性についても記述。アイデアは手元にある事実でなく、日常から離れた考えを種として生まれる。SF作家がアイデアを出し研究者が実現方法を考える。

第二章 アンドロイドになりたい

『スタートレック』に関する記述。米国のテレビドラマ及び映画。ここでもアイデアについて記述。狭い専門分野でなく、広い範囲をランダムに探索する。

登場人物のアンドロイド:データ少佐について。「感情」が理解出来ない。人間社会の中に「感情」を探す。

第三章 「不気味の谷」を超えて

著者そっくりのアンドロイド「ジェノミノイド」(2006年に制作)を作ったきっかけ。

1999年にATR知能ロボティクス研究所で開発した「ロボビー」というロボットがある。著者はロボビーの顔を変えようと意図したが、研究室の他の人間が反対する。外観が一旦定着すると、周囲が適応してしまい、変更が難しくなってしまう。

著者はこうしたロボットに対する人間の反応に興味を持ち、4歳の娘に似せた「リプリーR1」、成人女性に似せた「リプリーQ1」を制作。人間と似た外観であるため、機械と知っていても人間のように接してしまう。相反する感覚。

ジェノミノイドを制作して操作すると、遠隔操作しているロボットが自分自身のような感覚が生まれるとしている。操作者が別の人間になっても同じ。脳が自分の体と思い込むと、感覚は補完される。人間の体と脳は綿密なつながりでなく、予測や思い込みによるつながりも活用している。

第四章 ロボットの森へ―リアル化するSF

「ターミネーター」、「アイ、ロボット」、「A.I.」、「トランスフォーマー」等のSF映画に登場するロボットを実用化する技術について。

ゆらぎ:複雑なシステム・動作を実装するための思想。
    例えば、目標に近づく事を考えた場合、目標が遠い時は
    体を乱雑に動作させる。目標に近づいた際に乱雑さの度合い
    を小さくする。
    最初から自分と目標の位置を計測して計画を立てて進む場合、
    変化に対応出来なくなってしまう。

第五章 人とアンドロイドのあいだ

人間社会の中にロボットが入り込む未来について。本当に人間は存在するのか?コンビニの店員や企業の窓口の対応は画一的でありマニュアルに則っている。

その他のコミュニケーションについても内容は単純である場合が多い。病院に導入されるコミュニケーションのためのロボット。話の理解度が上がらなくとも「つながり」を実感出来れば満足感は向上する。

社会の一員として許容されるかどうかが重要。人間の社会性の原理は実体のない「こころ」という存在がある事を互いが信じ込んでいる事が前提となっている。

すなわち、人間社会の中にメンバーとして入っていれば、「こころ」、「感情」がある事になる。

第六章 ロボットの生きる道

著者はロボットにいつか競争心を入れなけらばならないとしている。

 理由1:競争しないものは生き残れない
 理由2:人間社会へ参加する動機

個の社会参加の動機は競争であり、全体としては社会が権利や主体性を個に与える。

(独)科学技術振興機構のERATOプロジェクトについて。社会性は人間が誕生してからどのように発達していくのか?著者は、その中で「社会的共創知能グループ」のグループリーダーを務めている。

脳科学や認知科学の仮説をもとにロボットの機能を作り、その動作を見る事で、仮説を検証可能になったとしている。

第七章 人とロボットが生きる現実

SF映画に共通する近未来の社会像は、徹底した情報のユビキタス社会としている。機械が人間の情報処理を代替するようになった結果、人口知能による支配的な世界が生まれる可能性。

著者は、その可能性を0ではないとしている。作った人間の意志を超えた統制が利かないシステム。現代以前では人々が社会という単位にまとまるには段階が多いプロセスやリーダーシップETCが必要だった?しかし、ネットでは社会という単位が簡単に集団行動を起こす。しかも様々な要素を単純な目的に収斂させてしまう。

「神」の視点から見た場合、人間とロボットは本当に区別されているのか?

著者はそうした精神的な問いを多くの人間が持つようになると予想している。物質の世界から精神の世界へ。

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