「ティーチ・フォー・アメリカ」の軌跡と学び

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いつか、すべての子供たちに――「ティーチ・フォー・アメリカ」とそこで私が学んだこと

概要

2010年、GoogleやAppleを抑えて、全米文系学生の就職先人気ランキングで1位となった、教育NPO「ティーチ・フォー・アメリカ」の軌跡をまとめた一冊。

ティーチ・フォー・アメリカとは

全米の優秀な大学卒業生を2年間、劣悪な環境下にある各地の公立学校に教師として送り込む非営利団体。1990年から事業を開始し、これまでに14000人以上を派遣し、根底からの教育改革に多大な成果を上げている。今では多数の、財界人や著名人が支援している。

あらすじ

ブリンストン大学に在学していたウェンディ・コップは卒業を間近に控え、進路について悩んでいた。就職という人生最大の決断をしなければいけない中、自分が何をやりたいのか、何も浮かばず、日々悶々としていた。

当時、その世代は「ミー・ジェネレーション」と呼ばれ、自己中心的でお金儲け、ぜいたくな暮らしばかりに関心がある世代と言われていたが、周囲には、意義や目的を与えてくれる仕事を探している4年生が大勢いた。

一方で、出身地域により教育の格差がある事に疑問を持ち、卒論のテーマとして調べ、行動を起こしはじめた。
周囲に話す中で、そのアイデアが実現した時の影響に心を奪われる様になり、就職活動が失敗に終わった事もあり、いよいよ本格的にそのアイデア「ティーチャー・コープ」組織を立ち上げる事を決める。

そこから、様々な問題や、批判、葛藤という困難を乗り越え、現在の組織に至る過程を今にも折れそうな心境を交えながら語っています。

成果の一例

・テキサス州のドナという小さな田舎町では、州の標準テストに合格したのは生徒の5.9%だけだったが、5年後80%の生徒が合格。州の教育省からは「学業面で評価の高い」学校とされる。

・州の中でも学業が最低レベルといわれたガストン中学校は、今や「模範」となっている。

・コープ・メンバーのインパクトを調査をした所、指導に関する23の項目において、平均で90%以上の校長がコープ・メンバーを「よい」「優れていると評価」

・2年間の教職が終了した後も、60%の卒業生が教育に従事。37%は教職。21%は教育の大学院に通っているか学校管理や事務の仕事、教育関係の団体で働いている。それ以外の人も70%が別分野だが、何らかの形で教育や低所得地域に関係しており、若者達への社会問題に対しての意識醸成に貢献。

・多くのコープ・メンバーが全国の市や郡で、教師が得られる最高レベルの賞を受賞。

・校長か副校長として、学校運営にあたっているコープ卒業生が40人以上いる。

上記の様に、卓越した能力と情熱を持ったコープ・メンバーが学校の内外部から力強く影響を与え、今ではアメリカのも貧しい地域社会のいくつかで献身的な若者のグループとして大きな勢力となっている。このメンバーが長期的には社会に対し大きなインパクトを与えていく事になる。

気付き

・どんな理想主義的なビジョンも実現する。
・大きなアイデアは重要で不可欠。
・志を共にする仲間の重要性。
・ミッションを実現しようとすれば、理想的なビジョンに加え、実行する基本の部分が必要(有能な組織を懸命に作る)。
・マネジメント、組織体制の重要性
・優れた組織とは、結果を出し、変化に対応し、継続的に改善を続けるシステムを持った組織。
・教育への投資は変化を起こす。

感想

ある一人の学生が感じた疑問が、その後、全米中を巻き込むムーブメントへと発展していく。
前半は、苦難の連続でギリギリの攻防で苦しさが伝わってきますが、後半にかけて、このムーブメントの良い連鎖が広がり、その評価や、影響を聞くと、熱く込み上げてくるものがありました。

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