オリンピックの身代金(上)の書評・感想

1978views黒夜行黒夜行

このエントリーをはてなブックマークに追加
オリンピックの身代金(上) (角川文庫)

時は昭和39年。アジアで初のオリンピックとなる東京オリンピックを間近に控え、終戦後たった20年でここまで復興したという誇りを持って、日本が先進国であるということを世界に認めさせようと、国民が一丸となっている、そんな日本が舞台となっています。
東京オリンピックを約二ヵ月後に控えた8月のある日。東京オリンピックの警備の実質的な責任者を務める須賀修二郎宅が爆弾により爆破される。それから一週間後、今度は警察学校の寮がまたも爆弾により爆破される。
警視庁は一通の脅迫状を受け取っていた。それは、一年まえ全国を震撼させ未だ逮捕されていない爆弾魔・草加次郎の名を騙って送られてきたもので、東京オリンピックの開催中止を目論んでいるという内容だった。
警察は、須賀邸と警察学校寮の爆破を、ただのガス爆発と偽って国民に伏せた。もちろん、脅迫状の件もだ。厳重な緘口令が敷かれ、マスコミにも一切情報が流れることはなかった。
国家の威信を掛けた東京オリンピックに、万が一の不祥事でもあれば国際的な評価はがた落ちとなる。警察は、公安と捜査一課が合同で捜査するという異例の捜査体勢を組み、大量の人員を投入して爆弾魔逮捕に向けて捜査を続ける。爆弾魔の素性は早い段階で割れるのだが、警察は一向に追い詰めることが出来ない。
一方、東大の大学院生である島崎国男は、マルクスを学び、共産主義に親しみを感じる男だった。彼は、様々な事情から、ひと夏オリンピック会場の建設現場で肉体労働をすることに決める。長髪でひょろひょろだった国男に肉体労働は辛かったが、次第に人夫たちとも交流するようになり、最底辺の生活の実態を間近に知るようになる。
次第に国男は、華やかな東京オリンピックの陰で、多くの人が苦労を強いられていることに義憤を感じるようになる。様々なきっかけがあって、東京オリンピック開催を阻止することに決めた国男は、冷静に計画を練り国や警察と対峙することになるのだが…。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く