マドンナの書評・感想

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マドンナ (講談社文庫)

「マドンナ」
春彦は営業三課の課長。その営業三課に、人事異動で一人の女性が入ってきた。倉田知美。入社四年目の彼女は、素直で有能、そしてまずいことに、春彦の好みのタイプだった。妻もいるし子供もいる。恋をしちゃいけないと思いながら、妄想の中で知美との恋愛を繰り広げてしまっている。ああ、俺は一体どうしたいんだろうか…。

「ダンス」
出世コースに乗っている、第一営業部の四人の課長。芳雄は四課の課長である。第一営業部は五課まである。五課の課長の浅野は、出世には興味がないらしく、周囲との協調も取ろうとしない。はっきり言って、浮いている。
また、芳雄の息子が、将来ダンサーになると言って大学に行かないと言い出したらしい。妻がそう言っていた。なんだ、ダンサーだと。芳雄は、息子の夢を馬鹿らしいと思っている。
浅野と息子よ。もっといろいろと考えてみようよ…

「総務は女房」
入社以来営業畑を歩いてきた博史は、二年間総務部第四課課長の椅子に座ることになる。事務方部署への異動は出世コースであり、いよいよ博史にも、局長の椅子が見えてきた。
さてその総務部第四課。営業を渡り歩いてきた博史には、どうしてもおかしいと思える。やる気のない社員、出入りの業者との癒着、何なんだここは…。俺達が必死になってモノを売っていた時にこいつらは…。
博史は、総務部第四課を改革すべく、あらゆる方針を打ち出す。しかし、そうすればそうするほど、どんどん上からの横槍が入る。会社って一体なんなんだろう…。

「ボス」
前任の課長の移動が決まったとき、次は俺だと思った茂徳。しかし、課長になったのは、浜名陽子という他部署から引き抜いてきた女性だった。茂徳は、鉄鋼製品部第一課課長兼部次長、という肩書きになった。
よりにもよって女か…と思った。男の世界だった鉄鋼製品部だったが、その牙城が崩されてしまう思いだった。
さらに、それに輪を掛けるように、陽子はあらゆる改革を推し進めていった。ノー残業デー、カジュアルフライデー、休日の接待ゴルフの禁止などなど…。その度に茂徳らは反対の意を唱えるのだが、結局実行に移される。次第に陽子のやり方に賛成する人も増えてくる。
なんだよ、これは。なんか、やってられないよな…。

「パティオ」
オフィスのある七階から見える、パティオという名の中庭。人はいなく閑散といている。
倉庫街だった埋立地を開発して、「職」「遊」「住」を実現しようとした巨大プロジェクトだったが、「遊」を実現するはずだったパティオがうまくいかない。テナントは多数あるが、それらはすべて会社の従業員だけをあてにした営業だ。観光客や主婦なんかは来ない。今会社では、これが頭痛のタネである。
そんなパティオをなんとかせよということで作られた営業推進部第一課の、信久は課長になった。
信久は、パティオでいつも本を読んでいる一人の老人が気になっている。ここが静かだからいいのだろう。
一方で、実家の檀家の寺がうるさくいってくる、ということで妻があれこれいう。連れ合いをなくして弱くなっているだろう父親も気に掛かる。一度実家に帰ってみようか…。

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