鳥類学者のファンタジアの書評・感想

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鳥類学者のファンタジア (集英社文庫)

ジャズピアニストである池永希梨子(でもこの「希梨子」と表記は一回しか出てきません。彼女は芸名として「池永霧子」を名乗っていて、そこから「フォギー」というあだ名で呼ばれているので、以下彼女の名前はフォギーです)は、ライブハウスで演奏して食い扶持を稼いでいる三十代後半の女性。実家暮らしです。
フォギーはいつものように、国分寺にある「ナルディス」でピアノを演奏していると、「柱の陰の熱心な聴き手」の姿を目にしたのだ。この「柱の陰の熱心な聴き手」というのは、どんなにお客さんが少なくても、柱の陰の見えないところに熱心な聴き手がいるから頑張ろう、とやる気を出させるためのもので、だから実在しない。その実在しないはずの存在が目の前に現れたので、フォギーは驚いて後を追いかけるわけです。
彼女は(「柱の陰の熱心な聴き手」は女性でした)、フォギーの演奏を聞いて、「オルフェスの音階」がどうの、「ピュタゴラスの天体」がどうの、とよく分からないことを言い、またジャズに関する基本的な知識がないまま批判されているようで、何だかイライラしました。しかし、彼女の名前を聞いてフォギーは驚きました。なんと「霧子」というのです。同じ名前だったから驚いたわけではありません。フォギーには、ベルリンで亡くなった「霧子」という名の祖母がいるのです!
そこから、まあいろいろとすったもんだありまして、フォギーは1944年の終戦間近のドイツへとタイムスリップです。そこで霧子と再会するわけですが、何だか知らない間によく分からないことに巻き込まれてしまいます。ベートーベン・カラヤン・ヒムラー・ケプラーと言った面々が出てきたり、ロンギヌスの石だのフィボナッチ数列だの宇宙オルガンだのと言ったものが出てきて、そもそも霧子の所属する「神霊音楽協会」なる団体がまず怪しいし、それにフォギーだけじゃなく、佐知子ちゃんという知り合いの女の子までタイムスリップして来てしまう始末でなんだか大変です。
結局フォギーは流れに身を任せるようにして、どんどんと知ってはいけない秘密に深入りしていくことになるのですが…

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