「悪」の秘密結社による「世界征服」の物語。まおゆう魔王勇者 1の内容まとめ

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まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」

「知的影響から自由なつもりの実務屋は、たいがいどっかのトンデモ経済学者の奴隷だ。虚空からお告げを聞き取るような、権力の座にいるキチガイたちは、数年前の駄文殴り書き学者からその狂信的な発想を得ている」(ケインズ「一般理論」)

この作品を読む前に岡田斗司夫の「世界征服は可能か?」読むと面白い

・支配とは何か
・特権階級とは何か
・悪とは何か

という三大命題について非常に面白い意見を提示しています。

http://bukupe.com/summary/3569

「悪による世界征服とは、人々の幸福と平和=現状の価値観や秩序の基準を破壊することなんですね」
「世界征服を目指す人とは、現状を否定する人のことです。人に優しく、環境に優しく、良識と教養ある世界を目指すことにより、悪の栄える世界を目指しましょう。今現在の幸福と平和にノーを言うこと。新しい幸福と平和を世界に宣言すること。これが新時代の、世界征服への合言葉なのです」

「悪」の秘密結社による「世界征服」の物語

これを踏まえて読むと、
まさにまおゆうは、「悪による世界征服」を本気でやろうとした話だと思う。

つまり、現状を否定し、その先の世界を望み、
特権階級(未来人)のみに許された知識や体験を大衆に開放し
概念や技術を流通させるという形で世界をコントロールする。

まぁ実際はそんなに単純な話ではなく、秘密結社は徐々に勢力を拡大していき、あるポイントで、秘密結社の目的が秘密結社だけのものでなくなる、という瞬間が訪れるところが一番面白いです。

それでもスタート地点として、この物語では「主人公たちは本質的に世界にとっての悪である」「魔族の存在や魔族との終わらない戦いこそが正義であって、主人公たちはその正義に反抗する悪である」というのがとても大事。そして、そのことについて主人公たちがちゃんと自覚を持っており、自覚を持って目的のために他者の血を流し、悪の役目を引き受け続けるというところが非常に面白い。

この物語では「悪が世界征服を行う」という目的が本当に達成されてしまうため、
悪とはなにか、という定義を自分の中で考えておかないとこれは悪だから許せないとか、逆に主人公たちの行動を正義として肯定する態度になってしまいそうな気がする。それはどっちも違うんじゃないだろうか。予めこの部分に対する自分のスタンスを決めてから読むとより面白いと思う。

余談 平賀源内にも理解者がいればなぁ…

序盤の魔王と青年商人の会話が滅茶苦茶面白い。

「あなたは敵ですか?味方ですか →取引相手だよ」

「敵と味方のニ分割ではこの世界はあまりにも惨めに過ぎよう君たちは商人なのだろう?」

「決まった未来など、退屈で辟易しないかね?」

「商人殿と同じものを見ているだけだよ 利益と損害だ」

「相容れない光と影を仲介し妥協し取引することで利益を上げる、それが商人だ」

「損得勘定 これは天と地の間で二番目に強い絆だ」

「退屈?渇く?私は何を馬鹿なことを言ってたんだ概念を仕入れ、世界を変える。面白いじゃないか、商売は。さて…始めようか、未来の話を」

この会話を読んだ後で冒頭の勇者と魔王の会話に戻ると、

「決して諦めない 妥協してでも、明日を目指す」

「騙して契約したくないんだ これは世界で一番大切な話だから」

一番大事な愛情は「契約」で、二番目に大事な損得契約は「絆」と表現されていて、なんとなくこのセンスにしびれる憧れルぅ!

で、マンガ版にて、青年商人が魔王のビジョンを脳内に思い浮かべ、シンクロするシーンがあるのだけれどこれがまたすばらしい。
「風雲児たち」において、平賀源内がひとり優れた未来のビジョンを具体的にイメージしながら、それを誰にも理解してもらえなかった悲劇と比較すると、本当に、出会いって大事だなぁ、と思う。

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