誘拐ラプソディーの書評・感想

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誘拐ラプソディー (双葉文庫)

伊達秀吉は、大宮市のある一角にある寂れた公園にいる。そこで彼は、さんざん悩んでいるのだ。
もう死ぬしかない。
首吊り用にロープを持ってきた。けど、桜の枝が折れそうだから止めよう。飛び降りも、うまく落ちないとダメそうだから止めよう。そうだ、排気ガスを車に引き込んでそれで…、と考えている。
彼が死のうとしているのには理由がある。
前科三犯で身寄りもない自分を引き取ってくれた工務店の親方がいる。競馬だの競艇だのの金をつぎ込んでしまう自分に給料を前借させてくれたり、いろいろと面倒を見てくれた。
そんな親方を殴って、しかも車を盗んで来てしまった。サラ金から借りたお金も、既に返せない額になっている。もう行き場も失ってしまった。死ぬしかないのだ。
死ぬしかないと思いながら、決心がつかずウダウダしていた彼の前に、一人の子供が現れた。重そうなリュックサックを背負った、小学1年生くらいの子供だ。話を聞いてみると、どうやら金持ちの子供で、しかも家出をしてきたのだという。
おー神様仏様。カモネギとはこのことだ。この子を誘拐して身代金をせしめてしまえばいいではないか。素晴らしいことに、ムショ仲間だったある人から、誘拐の極意だって教わっている。完璧だ。一発逆転の大チャンスだ!
そうして秀吉は、伝助というその子供をうまいこと騙してどこか旅に出る風に思わせておきながら、同時に伝助の家と連絡を取り、身代金を奪い取る算段を始めるのだが…。
どこで歯車が狂ったか、秀吉はなんと警察だけでなく、ヤクザやチャイニーズマフィアにも追われる身になってしまった。しかも、殺すはずだった伝助との間にも、友情めいたものが生まれつつある。どうすればいいんだ、俺は…。

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