さよならバースディの書評・感想

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さよならバースディ (集英社文庫)

真は文学部の助手でありながら、霊長類であるボノボを使った実験をしている、まあ変わった人間が多い中でも結構変わった経歴の人間だ。まあ、事情は話せば長いのだが、結局いろいろあって、真が「バースディ・プロジェクト」と呼ばれているその研究の実質的なリーダーである。
バースディというのはボノボの名前だ。まだ4歳弱。人間の年齢に換算しても小学生程度でありながら、力はすごい。そしてすごいのは力だけではなく、その知能もである。
バースディは、人間とのコミュニケーションが出来るサルなのである。
もちろん、人間の言葉を喋ることが出来るわけではない。バースディに言葉を覚えさせ、それをキーボードのようなものに貼り付けていく。人間の言葉を理解し、そのキーボードを押すことで会話をするのだ。もうすぐで覚えた単語は100語を越す。それだけでも、十分会話ができるのだ。
真の研究室には、ボランティアで実験を手伝ってくれる学生スタッフが多数いるが、その中でも由紀の存在は大きい。バースディに一番懐いているだけではなく、キーボードを含めた機械関係はすべて彼女の手によるものだ。彼女なしで研究を進めることはできなかっただろう。
理学部の学生である彼女は初め、共同利用研究生として研究室にやってきた。つまり、ボノボを使った別の研究テーマを実験するために来たのだ。しかししばらくすると、率先して真の(当時は安達という助教授のプロジェクトで真はそのスタッフだったのだが)研究を手伝うようになった。二人はその内、恋仲になった。
日常はいつものように過ぎていった。バースデイの実験、由紀との関係。神田というジャーナリストが時々付きまとってくるようになったのと、真が由紀にプロポーズをしたのが違いといえば違いだ。後は、何も変わったことはないはずだった。
はずだったのだけど…。

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