超訳「哲学用語」事典の書評・感想

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超訳「哲学用語」事典 (PHP文庫)

本書は、サラリーマン・市役所職員から、フリーターを経て哲学者になった『庶民派』哲学者である著者が、難しい用語を使うことで興味ある人間を哲学から遠ざけているという現状を憂え、哲学の世界で使われている様々な言葉を『超訳』することでわかりやすく親しみやすくしようと目論んで編まれた哲学用語事典です。
本書を著者がどういう考えの元に執筆したのかについて、凄く分かりやすい文章が「はじめに」のところにあるので、ちょっと長いですけど全文抜き出してみます。

『ではどうして、そのような誰もが難しいと感じる翻訳をいつまでもつかっているのでしょうか。言葉は生き物ですから、本来であればどんどん変化していくはずです。それには、日本の哲学研究の世界における悪しき伝統が関係しています。
つまり、日本の哲学研究者には伝統を重んじる人たちが多く、どうしても先人が築いた遺産をそのまま受け継ぐ習慣があるのです。だから、誰かがやめようといわない限り、いつまでもこの状況が続くわけです。
私は常々この状況をおかしいと感じてきました。難解な用語を使い続けるせいで、哲学自体が普通の人たちから敬遠される存在になってしまっているのですから。本当にそんな難解な用語を使う必要があるのか?もっと簡単な言葉に言い換えられないのか?哲学にめぐり合って以来、ずっとそんな疑問を抱いてきたのです。』

僕は、本当に時々哲学の本を読むんですけど、確かに哲学の用語は非常に難しいなぁ、と思います。字面を見ても全然イメージが沸かないもの、あるいは、通常の日本語とは違った使い方をされているものなんかがひしめきあっていて、確かにそこがまず哲学の大きなハードルになっているよなぁ、という感じがします。
実際著者も、高校時代進路で法学部を選んだのも、倫理の授業で習った哲学用語に一種の拒否反応を示してしまったからだ、と書いています。そこから、サラリーマン・フリーター・市役所職員・大学院に入り直し、そこから哲学者になるという回り道をすることになったわけです。
でもそのお陰で、ごく一般的な視点を持った哲学者として、普通の感覚で哲学を語ることが出来るという強みを持つことにもなります。そういう意味で、本書のような事典を執筆する人間としてぴったりだったのだろうと思います。
本書は、確かに哲学用語を解説した作品ですけど、哲学用語の多くは日常会話でも使われるようになっているものも多く、そういう意味で、哲学に興味のない人にとっても実用的な内容になっている、と著者は書いています。実際僕も、そうだなぁ、という感じがします。また著者は本書の読み方として、事典として引くのもありだし、哲学の入門書として読むのもアリだ、という風にも書いています。僕は、哲学の本を読むとは言っても、初心者のそのまた初心者というレベルなんで、確かに僕のような人間には、入門書としてなかなかうってつけの作品かな、という感じがしました。

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