リヴァイアサンの書評・感想

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リヴァイアサン (新潮文庫)

さて、外国人作家があんまり得意ではない僕が結構気に入っている作家、ポール・オースターの作品です。
本書は、ピーターという作家が、友人であるサックスという男について、その出会いから最後爆死するまでの関係を小説にした、という設定の作品です。
ある日ピーターは、男が爆死したというニュースを新聞で読んだ。その男は、アメリカ全土を巻き込んだ自由の女神像爆破テロ犯ではないか、と目されていた。その爆弾を作っている間に誤爆したのだ、と。
ピーターはその記事を読んだ時、それがかつて友人だったサックスであると分かった。
数日後、FBIがピーターの元にやってきた。ピーターは彼らに情報は明かさず、知らぬ存ぜぬで通した。
そしてそれからピーターは、サックスとの出会いからのすべてを小説に記録することに決めた。
サックスとの出会いは、記録的な大雪のために中止になった朗読会でのことだった。二人は意気投合し、それから間もなく無二の親友になった。
二人の関係は様々な紆余曲折を経て、そしてささいなすれ違いやちょっとした出会い、そして不運な偶然によって絶望的にズレてしまっていく。そしてサックスの物語は同時にピーターの物語でもあり、そしてさらに様々な多くの人々の物語でもある。
例えばピーターはこんな風に語っている。
『ディーリア・ボンドとの結婚が崩壊しなかったら、私がマリア・ターナーに出会うこともなかったろうし、マリア・ターナーに出会っていなかったらリリアン・スターンについて知ることもなかったろうし、リリアン・スターンについて知ることがなかったら、今こうして本を書いてはいないだろう。』
サックスの人生には、ピーターの人生が大いに関わっているし、そのピーターの人生には何人かの女性が深く関わっている。いくつかの捻じれがなければ、恐らくサックスは爆死することはなかっただろう。
ピーターの知る限りの情報をすべて盛り込み、かつてお互いを完全に理解し合っていた親友がいかにして爆死するに至ったのかを丹念に描いた作品。

リヴァイアサン (新潮文庫)

リヴァイアサン (新潮文庫)

  • ポールオースター

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