グーグル革命の衝撃の書評・感想

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グーグル革命の衝撃 (新潮文庫)

本書は、「NHKスペシャル」っていうテレビ番組(で合ってるんだよなぁ。見たことないから間違ってるかも)で組まれたグーグル特集を書籍化したものです。
僕は昔、Google創業者の二人がいかにGoogleを作り上げたか、というノンフィクションを読んだことがあるんだけど、本書はどちらかと言えば現在そして未来のグーグルについてかなり言及している作品で、会社創業記みたいな作品ではありません。
第一章は、グーグルとはこんな会社だ、というような紹介になっています。普段どんな風に仕事が行われているのか、創業者の二人がどんな風な思考を経てGoogle創業に至ったか、どうやって収益を生み出しているのか、と言ったようなことです。
第二章は広告について。グーグルは、検索連動型広告という新しいタイプの広告を考えだしました。これまでは、テレビCMや新聞広告など、より多くの人に見せる広告ばかりだったのだけど、それは関係のない人にも広告を見せることになって効率が悪い。検索連動型広告の場合、ある言葉を検索した人に、その言葉に関連した広告を表示するというもので、これによって広告の世界はどのように変わっていったのか、という点が概略されます。グーグルの広告だけで生活をしている、なんていう人の話も出てきます。
第三章は、グーグルのメディアとしての側面についてです。グーグルという会社自体は、何らかの情報を発信するというわけではありません。それでも、地球上のありとあらゆる情報を集め、整理し、それを求めている人に的確に届けるという点で、既存のメディアの枠を超えた包括的なメディアとしての役割を担うことになりました。コンピュータがニュースを編集したり、Youtubeを買収したり、図書館の本をスキャンしてデータ化したりと、グーグルの領域はどんどんと広がっていきます。
第四章は、検索順位の謎についてです。グーグルは、検索順位を決定するアルゴリズムを公表していません。一方でありとあらゆる企業は、グーグルの検索順位をいかにして上げるかという熾烈な競争を行っています。その現状についてリポートする一方で、「グーグル八分」と呼ばれる、突然グーグルの検索に出なくなってしまった会社の話も取り上げられます。
第五章は、個人情報や監視社会についての話です。グーグルは今、様々なサービスを無料で提供していますが、それは一方でユーザーのデータを蓄積していくための布石であるという風に見られています。僕らはグーグルの様々なサービスを使うことで、年齢や性別などの基本的な情報から、「今どこで何をしている」といったタイムリーな情報まで、ありとあらゆる個人情報をグーグルに保管されることになっています。グーグルは個人情報の扱いについては厳重にしているとは言っているけど、集めた個人情報をまったく使わないということもないだろうと言われています。グーグルの姿勢次第では、ジョージ・オーウェルが「1984」で書いたような監視社会がやってくるのではないか、という話です。
第六章は、うまくまとめるのは難しいですけど、著作権や独占禁止法の問題や、あるいは先進国で唯一シェアを奪えていない日本への参入、今後グーグルはどこまで突き進むのか、といったようなことが書かれています。
第七章は、グーグルの登場によって変化してしまったライフスタイルについて書かれています。検索することで情報を一瞬にして呼び出すことが出来る。また、自分の嗜好に合わせた情報が送られてくるようになるかもしれない。しかしそれは、個人の判断の領域を侵すことになるのではないか。
あるいは学生は、何か調べ物をする際まずグーグルで調べるという。他の情報収集の仕方はほとんど知らない、という学生も多い。かつて情報を得るには、図書館に通ったり人から話を聞いたりととても面倒なことをたくさんしなくてはいけなかった。しかしその過程で情報が整理され、その人独自の考えが生まれる下地になっていったはず。現在では、知りたい情報は一発で見つかるけど、個々人の考える力がどんどん奪われていっているのではないか、というような話でした。

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