Google誕生の書評・感想

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Google誕生 —ガレージで生まれたサーチ・モンスター

本作は、世界的企業であるGoogleの創業前から現在に至るまでの過程を追ったノンフィクションです。
Googleは、スタンフォード大学の学生だったラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンという二人の若者が興した会社です。
ペイジとブリンは、スタンフォード大学で様々な研究に手を出す学生でした。二人は共に天才と言われるほど頭脳明晰で、また人間としても魅力溢れる存在でした。
そんなある日、ペイジはある画期的な検索システムの開発に成功しました。当時インターネットは始まったばかりで、いくつかの検索サイトが存在しましたが、いずれもお粗末なもので、ユーザーを満足させるには程遠いものでした。当時あった検索サイトは、サイトの重要度に関わらず雑多な情報を引き上げるだけで、ユーザーは目的のサイトに辿りつくまでに、様々なジャンクなサイトをサーフするしかなかったわけです。
ペイジは、ページリンクというまったく新しい着想から検索システムを組み上げました。それは、サイトの重要度を、どれだけ他のサイトからリンクが張られているか、ということで判断をし、そのサイトの重要度に従ってページの表示をしよう、というものでした。このシステムは公開されるや、まずスタンフォード内で人気が出て、その後口コミだけで広範囲に広がって行きました。
しかしペイジとブリンは会社を興す気はありませんでした。彼らがしたかったことはただ一つ。検索システムをもっと改良し、もっと使いやすくすることだけでした。
しかし、そのためには金が必要であることもまた明白でした。彼らは、システムを進化させるのに必要な金を得るには会社を興すしかない、と判断し、Googleを立ち上げたわけです。
そうして生まれた会社は、業界内でもかなり異端でした。そもそも彼らは会社を興したはいいけど、検索システムから利益を得ようとは思っていませんでした。彼らがやりたかったのは、より早く正確に検索できるシステムを作り上げることだったのです。しかし、投資家から金を預かった以上、利益を上げる仕組みを生み出す必要もありました。彼らは、彼ら独自のやり方で検索結果のページに広告を載せ、それによって収益を上げることに成功したわけです。
その後もGoogleは異端であり続けました。Googleが生まれた時期は、検索よりポータルサイトという流れがメインでした。検索なんか金にならない、よりユーザーを引き寄せるポータルサイトを運営することが、より利益に直結する、と考えられていた時期でした。しかし彼らは、検索にこだわりました。素晴らしい検索システムを提供できれば、いつか正しい方向に道は開ける、と信じていたわけです。結果的にそれは正しく、今ではマイクロソフトをも脅かす存在になっています。
また、社内環境についてもかなり独自のポリシーを持っています。Googleは、一流の料理人を雇って昼食を無料で提供したり、個人に請求のいかないクレジットカードを社員に渡していたり(これはたぶん創業間もない頃だけだと思うけど)、会社の中をオモチャだらけにしたり、子供のいる女性でも働きやすいようにしたりと、とにかく働く環境を整えることにかなり熱心にやってきました。そのためGoogleに入りたいと思うエンジニアが増え、その件でマイクロソフトと係争になったりしたこともありました。
また仕事の進め方も独特で、なるべく中間管理職をなくし、3人から5人単位でいくつものプロジェクトを同時に進めるというやり方が取られていました。また、「20パーセントタイムルール」というのがあって、一日の時間の内20パーセントは、自分の興味のあるテーマについて研究するように、と奨励されています。奨励されているというか、これは義務みたいですけどね。その20パーセントタイムルールから生まれたアイデアがメインプロジェクトになることもあるわけで、とにかくこういう形で社員のやる気を引き上げているわけです。
「グーグル・ニュース」の開発者であるバラットも、20パーセントタイムでそのアイデアを温め、それをメインプロジェクトまで持っていった一人です。そのバラットはこんな風に言います。
「グーグルでは、行う価値のあるものには、資金が提供されるのです。そして、その製品がどのように利益を生み出すかについては、今まで誰にも質問されたことがありません」
利益の追求は後回し。ユーザーにとってそれが必要なら、とりあえずそれはやろう。そんな姿勢で突き進んできた会社なのです。
また、Googleは株式上場もするわけですけど、ここでもウォール街の常識を覆すことをやってのけます。というか、この部分に関してはどこがどういう風に常識外れだったのか僕にはよく分からなかったんですけど、とにかくそれまでの慣習を全部無視して、自分達独自のやり方を押し通したんだそうです。

Google誕生 —ガレージで生まれたサーチ・モンスター

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  • デビッドヴァイス,マークマルシード

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