新宿駅最後の小さなお店ベルクの書評・感想

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新宿駅最後の小さなお店ベルク 個人店が生き残るには? (P-Vine BOOks)

本書は、新宿駅出てすぐのところにある、たった15坪の喫茶店「ベルク」の店長が語る、ベルクの歴史やベルクの秘密について書かれている本です。
同じ場所で母親が経営していた喫茶店を、井野氏が作り替えたところからベルクの歴史は始まります。それまでは、どこにでもある普通の喫茶店だったのを、井野氏は、セルフサービスの店に変えたのです。
日本でも有数に土地の高いところであり、しかもテナントとして入っているビルに実績を示さなくてはいけないという状況もあって、とにかくいかに回転を早くして利益を出すか、ということを考えた結果の選択です。
しかし、セルフサービスの店にしたからと言って、何かを諦めたり切り捨てたりしているわけではありません。
コーヒーは、豆を一度北海道に送って24時間水につけてもらったものを送り返してもらい、専門の人に抜群の配合を考えてもらったものをだしています。しかも、セルフサービスなので機械出しなのですが、そのメンテナンスの業者が音を上げるほどメンテナンスの依頼をし(1年取り替えなくてもいいと言われていた部品を、味が実際に落ちていると指摘し、3ヶ月毎の交換にしてもらった)、最終的には機械の設定を自分たちでやるというところまでになりました。その日の気温や湿度などの状況によって細かく設定を変えているそうです。
副店長でもあり、井野氏の奥さん(よくわからないけど、戸籍上は結婚していないらしい)である迫川氏が素晴らしい舌を持っている人物なようで、例えば店で提供するパンの商品開発をするために、その時点で都内に出回っているありとあらゆるパンをとりあえず試食するとか。また、迫川氏の趣味で日本酒まで出すようになり、しかもそれは、酒屋の奥で眠っているような『究極の一品』を酒屋さんに出してもらったものを提供する、というこだわりようです。
ウインナーも凄い。アルバイトスタッフがたまたま見つけてきた精肉店で作っているものなのだけど、本場ドイツのものよりも美味しいらしい(実際その後、ベルクで出しているものとまったく同じソーセージで、ドイツのコンクールで金賞を獲ったとか)。
とにかくベルクでは、店で出す商品は『自分たちが食べたいと思うもの』という基本コンセプトを持っていて、薬漬けになっているようなものや、どういうルートで店までやってくるのかわからない食材は使いたくない、という徹底したこだわりがあるわけです。しかもそれを、非常に低価格で提供している。一般的に喫茶店やファーストフードでの商品の原価率は25とか30%ぐらいらしいんですけど、ベルクでは50%なんていう商品もあるし、80%なんていうものもあったそうです。もちろんこれは、一日の来店客数がハンパないベルクだからこそ可能なビジネスモデルだ、と本書にも書かれていますが。
接客などについても徹底しています。これは、どう徹底しているのかうまく説明するのが難しいですけど、とにかく『お客さんの立場にたって』という当たり前のことをしているんです。

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