吉里吉里人 (上巻)の書評・感想

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吉里吉里人 (上巻) (新潮文庫)

ストーリーは、簡単に要約してしまえば非常に簡単で、
『東北の寒村である吉里吉里村がある日突然日本に対して独立を宣言する。その独立宣言から二日間の出来事を描いた作品』
ということになります。ストーリーの骨子はこれで大体説明できますが、さすがにこの長大な作品の内容紹介がこれだけというのはあんまりなので、もう少し書きましょう。
物語の主人公は、古橋健二という三流以下四流五流と言ってもいいくらい箸にも棒にも掛からないダメ小説家です。このダメ小説家は今、編集者と共にとある取材先に向かおうと電車に乗っています。
すると突然電車が急停止し、銃を持った少年が乗り込んできます。すわ列車強盗かと思ったけども、さにあらず。彼らは<吉里吉里人>だと名乗り、旅券を見せろと迫ります。はて、同じ国内を旅行するのに旅券が必要だったかしらん、と思っていると、なんとその少年達は、今朝がた吉里吉里村は独立を宣言し吉里吉里国になったのだ、といいます。半信半疑ながらも、とりあえず入国管理所に連れて行かれる古橋他800余名の乗客たち。古橋はそこで、吉里吉里村にしばらく滞在し、そのルポを書けばこれは真に貴重であると気づき、それを実行に移すことにする。
それからたった二日間の間に、いやはや古橋健二という作家はとにかくありとあらゆることに巻き込まれる。ネタバレにならない程度に(つまり各章のタイトルを見れば分かる程度のことを)書くと、古橋健二は双頭の犬を見、ナイチンゲール記章を三つ持つ看護婦に会い、労働銭という概念を知り、冷凍人間技術に出会い、吉里吉里文学大賞を受賞し、化粧をすることになり、さらに大統領になってしまうという、これだけ書いただけでもとんでもない展開が繰り広げられるわけです。
しかし実際読むとさらにすごいです。とにかく、ありとあらゆる話題が縦横無尽に飛び出して来て、しかもただの部外者だった古橋健二が独立騒ぎにどんどん介入していくことになり、不確定要素を取り込むことになってしまった吉里吉里独立騒動はさらに一層渾沌としていく始末。
さて、吉里吉里村の独立は果たして成功するのか…。

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