Rのつく月には気をつけようの書評・感想

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Rのつく月には気をつけよう (祥伝社文庫)

本作は7編の短編を収録した連作短編集になっています。
まず基本的な設定から。
長江高明、熊井渚、湯浅夏美の三人は大学時代の友人で社会人になった今でもよく会う。会うのは飲む席でというのが多い。というかそれしかない。長江が場所とつまみを用意する、熊井が酒を用意する、そしてここ数年の習慣として誰かがゲストを呼んできて4人で飲む、というのが定着している。
毎回ゲストを交えて、違った酒とつまみで飲み会を開くのだけど、しかし毎回そこで小さな謎が話題になる。それを長江が悪魔的な頭脳で以って解決する、という話です。

「Rのつく月には気をつけよう」

夏美が連れてきたゲストである柏木一重は、昔生ガキにあたったことがあるという。以来口にしたことはなかったのだが、しかし今回また挑戦してみる、とのことだった。
その生ガキにあたった時の話を一重から聞くことになった。上司の新築祝いの席で出された生ガキを食べた翌日に腹痛に襲われたということだったのだけど…。

「夢のかけら麺のかけら」

今回は、つまみとして最高なのは何かという話の流れで、チキンラーメンをつまみにしているやつがいるという熊井の発言を受けて開かれた。もちろんそのチキンラーメンをつまみにしているという塚本がゲストである。
さてそこでは、塚本が最近出くわしたある出来事が話題になる。普段から塚本は自宅でチキンラーメンを食べているために床にそのカスを落としてしまうことになるのだけど、ある日床に大量のチキンラーメンが落ちていて、そしてその件で彼女に酷く怒られたのだ。しかし寝ぼけていてどうも自分で落としたのか記憶にない。まあチキンラーメンを床に落とすのは自分ぐらいしかいないと考えたのだが…。

「火傷をしないように」
オレゴンの白ワイン×チーズフォンデュ

今回のゲストは夏美が連れてきた後輩、須田明日香である。今回はチーズフォンデュなのだが、そこで堅いフランスパンはチーズフォンデュにして食べればいいという話を聞いた明日香は、ぽつりと「そっか、こんなふうに食べればよかったんだ…」と呟く。それを聞きとがめた三人は明日香の話を聞くことになる。それはなんともおかしな話で、バレンタインデーに義理チョコをあげたら、そのお返しが堅くなったフランスパンだった、という話なのである…。

「のんびりと時間をかけて」

今回のゲストは、長江の研究仲間である赤尾である。さてその赤尾だが、柔らかい角煮を食べてふと「やっぱり角煮は、柔らかいのがいちばんだな」と呟く。やはりそれを聞きとがめた三人は赤尾の話を聞くことにする。
それは付き合っていた彼女との話だった。付き合っていた彼女がある日、明らかに手抜きで作っただろう角煮を出してきたことがあった。それまでも角煮を彼女の作った角煮を食べたことはあったが、しかしここまで堅いのは初めてだった。ただ彼女も、別に失敗作だとかっていう言い訳をしなかった。あれは結局なんだったんだろう…。

「身体によくてもほどほどに」

今回のゲストは熊井の同期である塩田律子。実は今回は塩田の方に長江に相談したいことがあったらしく、それで熊井がこの会をセッティングしたらしい。
それは婚約者との話である。プロポーズをされたのだが、しかしそのプロポーズが後から考えるとちょっと変だった。彼はプロポーズの言葉として、「そろそろ、家庭を持とうか。」といい、その後寿司屋で出た茶碗蒸にのっていたぎんなんを見て「こんなおいしいぎんなんを、家でも食べようね」と言われたのだ。
どうということもなさそうだが、しかし塩田はかつて喘息持ちだった。気管支系の病気にぎんなんが利くという話はよく聞く。塩田は婚約者に、自分がかつて喘息持ちだったということは伝えていない。
ならばこれは、婚約者が自分の身辺調査をしたということではないか。そういう相手と本当に結婚してしまってもいいものなのだろうか…。

「悪魔のキス」

今回のゲストは、というかゲストという括りはおかしいのだが、まあ夏美が連れてきた。というか、夏美の婚約者である。冬木健太という男である。
さて今回は、アレルギーの話から健太の妹の話になった。健太の妹の彼氏というのが生エビのアレルギーのようで、食べると口やのどがかゆくなって大変なことになるらしい。
さてそんなある日、いつまでも起きてこない彼氏を起こそうと家までやってきた妹だったが、そこで彼氏は唇がかゆいと訴える。前夜は飲み会だった。もしかしたらそこで誤ってエビを食べてしまったのかもしれないが、しかし唇だけかゆいというのはどういうことだろう。
そこで妹は、もしかしたらエビを食べた人とキスをしたのではないか、と考えて喧嘩になったのだけど…。

「煙は美人の方へ」

さて、長いこと続いたこの家飲みの習慣も終わりを告げる時がやってきた。これまで会場を提供し続けてきた長江が引っ越すことになったのだ。

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