ブルータワーの書評・感想

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ブルータワー (徳間文庫)

瀬野周司は、膠芽腫という脳のガンを患っている。治療のために頭髪は薄くなり、今では車椅子の生活だ。余命は、およそ1・2ヶ月と言ったところだろう。
妻と二人で、高さ200メートルの超高層マンションの最上階から一階下の部屋に住んでいる。妻との関係はもう冷めている。介護はそれなりにしてはくれるが、もう愛情のようなものはないだろう。
もう、この世界に、周司の生き甲斐となるようなものはない。もはや、死を待つばかりの男だ。
そんなある日、尋常ではない頭痛を感じたと思ったら、いつのまにか彼は、見慣れない景色の中にいた。その中で自分は、車椅子にも乗っていないし、頭髪も充分にある。どこだかわからないその世界の中にしばらくいるうちに、おぼろげながら状況が理解されてきた。
どうやらここは、200年後の未来のようだ。黄魔という、インフルエンザウイルスを遺伝子改変した悪魔のような生物兵器のために、地上に人間が住むことが容易ではなくなった世界。そこには、塔と呼ばれる、高さ2キロの超高層建築物が国家の形を形成し、上層階であればあるほど階級が高くなるという、貧富の差が激しく分かれた世界であった。
その世界の中でセノ・シューと呼ばれることになった周司は、どうやら大一層に住む特権階級で、塔の全権を握る三十人委員会のメンバーの一人であるらしい。
その世界の中で周司は、ありとあらゆることに巻き込まれながら、200年後の未来らしいその世界を救おうと奔走することになる。時折頭痛がやってきては、意識だけ現在と未来とを行き来する生活の中で周司は、どうせ死期の迫った人生、出来ることはやってやろうではないかと意気込むが…。

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