ニッポン異国紀行―在日外国人のカネ・性愛・死の書評・感想

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ニッポン異国紀行―在日外国人のカネ・性愛・死 (NHK出版新書 368)

本書は大きく分けると、死・風俗・宗教・医療の4つにわけられます。
第一章は「死」。僕は本当にまったく想像したことがなかったのだけど、ここでは、日本で外国人が亡くなった場合、その遺体がどう扱われるのか、ということが描かれる。
どういう宗教に属しているかにもよるが、基本的に日本で外国人が亡くなった場合、その遺体は大使館などを通じて本国に送られる。火葬して遺骨を送るのではなく、死体のまま送るのだ。
そのため日本でも、そういう外国人の死体用のエンバーミング技術というものが存在する。
エンバーミングというのは、南北戦争をきっかけに発展していったものらしい。アメリカの歴史上初めての国内での戦争で、戦死した兵士を近くで埋葬するのではなく故郷に送り届けなくてはならなくなったために発展した。それを1974年に日本人医師が日本へと持ち込み、広まっていったらしい。
エンバーミングを施された死体を本国に送り返すのに、どれぐらいの費用がかかるか。国や死体の状況など様々な条件に左右されるものの、ざっと100万円程度は掛かるらしい。日本に来てお金を稼いでも、日本で死んだらその死体を本国に送り返すための費用でお金がなくなる、なんていうこともあるらしい。また、亡くなった人物が貧しい場合、同じ国出身の日本国内の仲間がお金を出しあってどうにか費用を捻出するという。それほどの大金をつぎ込んでまで、本国で土葬にしてもらう、あるいは本国で火葬にしてもらう。そういう現実はまったく知らなかったし、想像したこともなかった。
本章では、イスラーム墓地についても触れられている。イスラーム教は基本的に土葬が原則だ。人の魂は死と共に肉体から一度離れるが、「最後の審判」を経てまた戻ってくると考えられているからだ。しかし原則として日本では土葬は認められていない。そこで、イスラーム教徒のための墓地というのが存在する。
現在日本国内で、イスラーム教徒向けに土葬を受け付けている墓地は三箇所のみだという。狭い土地を有効に活用して、明治時代以降イスラーム教徒が日本へと流入してきた背景を支えてきた。

第二章は、外国人による風俗店の話。
日本の風俗業界において、2005年から2007年に起こった出来事は、誰にも何が起きているのかまるで理解出来ない、得体のしれない怪物に襲われたかのような現象だった。
2001年に起こった「歌舞伎町ビル火災事件」をきっかけに、石原都知事は歌舞伎町の浄化作戦を行い、店舗型の風俗店を次々に摘発した。経営者は、デリヘルなどの無店舗型の風俗店に切り替えざるを得なかった。それが2005年頃の話。
その頃デリヘルの情報サイトは、ネットに繋いでさえいれば札束が降ってくると言えるほど、まさにバブルのような狂乱だったらしい。しかしその当時何故か、上野周辺のデリヘル情報サイトだけ、どんどん広告が減っていった。上野周辺からは店もどんどんとなくなり、やがて空白地帯のようになってしまった。
初めの内、何が起こっているのか誰にもわかりませんでした。
原因は、韓国のデリヘルが上野周辺に次々と出来たことでした。
韓国では2004年に性売買防止法というかなり厳しい法律が施行され、ほとんどの風俗店が摘発された。そこで彼らは日本へやってきて風俗店の経営を続けることにしたのだ。
ある風俗情報サイト運営者は、日本と韓国の風俗店の違いをこう語る。

『違法なことを合法に見せかけてやろうとする日本の風俗店と、違法であることを違法として開き直ってやる韓国人風俗店とでは勝負にならないんです。』

韓国人風俗店は、女の子の写真に恐ろしいまでの修正を加え、かなり安い値段で本番までやらせた。これにより日本の風俗店は撤退を強いられ、風俗業界には値下げの嵐が吹き荒れることになった。
韓国人風俗店が増えすぎて商売にならなくなると、彼らは地方に行った。地方ではまだ、韓国人風俗店と日本の風俗店はある程度棲み分けが出来ているようだ。
「売春島」と呼ばれる島の現状や、中国人妻を斡旋するビジネスの話が続き、この章の最後でイスラエル人による『バスタ』と呼ばれる職業の話が出てくる。これは、渋谷などによくいる外国人の露天商の仕事だ。日本のバスタの親分が、本国に募集を掛け人員を集めている。
このバスタをやっているイスラエル人は、日本人女性と結婚することが多い。ケースは大きく二つに分かれる。
一つは、ある程度純粋な恋愛に近いもの。バスタをやるイスラエル人は、不法滞在が見つかって強制送還されることを恐れる。一方、地方に住む女性は寂しさを抱え、白人のような外見の彼らであれば自分の孤独を癒してくれるのではないかと彼らに近づく。そうやって結婚するパターンがある。
一方、偽装結婚もある。バスタをやっている男が、30万円とかで日本人女性と偽装結婚してもらうのだ。
この問題は、深い。

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