グラスホッパーの書評・感想

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グラスホッパー (角川文庫)

その、星のできる唐突さと、星という結果が、伊坂幸太郎の物語といえるだろう。
伝わったかどうか自信はないけど、つまり、無秩序に散らばったいくつもの伏線が、時と共に、捲るページとともに集まり、収束し、完結する。これぞ小説(あるいは物語)の力だ、と大声で叫びたくなってくる(そんなことしないけど)。
話は、「鈴木」「鯨」「鮫」の三つの章で進行する。章の名前は、それぞれの主体の人物の名前。まあそれぞれの話を分けて書いていこう。

「鈴木」:妻を亡くした、元教師。妻は車に轢かれて死んだ。事故ではない。寺原という、<令嬢>と呼ばれる会社の社長の馬鹿息子に、遊びで轢かれて殺されたのだ。鈴木は、復讐のために、<令嬢>に潜り込み、必死で仕事をして一ヶ月。
疑われていた。儀式と称して、人を殺すように言われる。車の中。銃を突きつけられ、妻を殺した寺原の息子が来ると言われる。
が、その寺原息子が、車に辿り着く前に、車に轢かれる。誰かに押されたようにも見えた。<令嬢>の社員に、あの男を追ってと言われて、鈴木はわけもわからず追うことに。「押し屋」と呼ばれる、業界でも有名だけど情報のない存在。「押し屋」かもしれない男を追跡する鈴木には、なぜか「押し屋」の家族と戯れることに…

「鯨」:「自殺屋」と呼ばれる、自殺のプロ。依頼されれば、どんな人でも自殺させる。彼の目がそうさせる。誰もが、そこまで強要することなく、勝手にと言っていいくらい、誰もが死ぬ。
梶という政治家の秘書を自殺させる仕事中。秘書は死んだが、そのホテルの部屋で、鯨は事故を目撃する。現場から逃げようとする一人の男。彼は思い出す。後悔という言葉と共に思い出す、「押し屋」という存在。
鯨は、幻覚を見る。今までに自殺させてきた人々が、亡霊となって彼の前に現れる。痛みと共に見る幻覚に彼は悩まされている。
寝起きしている、浮浪者のコミュニティで、田中という男に出会う。田中は言う。今の仕事を辞めなさい。亡霊に悩まされていますね。清算です。
その言葉で、また「押し屋」を思い出した彼は、ふと繋がった「押し屋」への線を手繰っていく…

「蝉」:殺し屋。岩西という男が取ってきた仕事を蝉が実行する。岩西と蝉しかいない、業界ではかなり零細で、頼まれたら何でもやる。
一家惨殺っていう一仕事を終えた蝉に、立て続けに岩西が仕事の依頼をする。梶という政治家から、ある男を殺してくれと頼まれたのだという。今業界は、寺原と「押し屋」で大混乱で、だから俺らのような零細に頼んできたんだろう。これはチャンスだ、とそう蝉に言う。
蝉は、約束の場所へ向かうが、遅刻してしまう。そして何故か、蝉自身も、「押し屋」騒動に首を突っ込んでいくことに…

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