コンビニ・ララバイの書評・感想

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コンビニ・ララバイ (集英社文庫)

「カンを蹴る」
息子は缶蹴りが好きだった…。
コンビニの前の駐車場に置かれた空き缶を見て、幹郎はそんな風に思う。
駐車場には一台のベンツ。つい先日、ヤクザの八坂という男が、しばらくここに車を置かせてくれ、と言ってきたのだ。ヤクザにしては律儀な男だ、と幹郎は思った。
そんな八坂が、また話があるという。承諾して飲み屋に顔を出すと、八坂からこんなことを言われた。
「治子さんを口説いてもいいでしょうか?」
カタギの女に恋をしてしまったヤクザと、妻の最後の書置きに頭を悩ませる幹郎の物語。

「向こう側」
「一度外で逢ってくれませんか」
店に来たヤクザの男にそう声を掛けられて、治子はこう返した。
「…ヤクザ、やめなさい。話はそれからでしょ」
まさか本当に辞めるとは思わなかった。リンチに遭ったのだろう、血だらけのまま店にやってきた八坂は、
「ヤクザ、やめたぜ」
とそんな風に言った。
二人は付き合うことになった。何度か飲みに行ったし、その帰りに、家に誘ったこともあった。
八坂は、ヤクザだ。小指の先がなかったりする。でもそれは、事故にあったのだと、そんな風に思って思えないこともなかった。
でも、八坂の刺青を見た治子は、躊躇した。さっきまで濡れていたのに、刺青を見た瞬間、濡れてないことに気づいてしまった。
八坂のことは好きなのに…。
しばらくして、八坂は治子の前から姿を消した…。
ヤクザとの恋におちた治子の物語。

「パントマイム」
五日前からミユキマートで働き始めた照代。店の前には、二人の中年女性が、ベンチの両端に座っている。治子の話によれば、本妻と愛人、だという。なんでも、店の前に事故に逢った人の本妻と愛人だそうで、二人して奇妙な空間を作り上げている。
照代は回想する。厚志との生活を。
シナリオライターを目指す若者だった。始めは、バイク便のライダーとして出会った。いつしか惹かれ合い、一緒に生活をするようになった。厚志のシナリオは、まるで採用されなかったけど、でもそんなことはどうでもよかった。厚志との生活が、何よりも大切なものに思えた。
結婚しよう。そんな話も決まった。何もかも順調だった。順調だったはずなのに…。
シナリオライターを目指す厚志との生活を描いた、照代の物語。

「パンの記憶」
劇団「火車」の一員である香。すぐ側にあるミユキマートの常連で、幹郎らにも顔を覚えられている。
今日は、新しい台本の役発表の日。今回こそ、いい役をもらえるはず。だって、思い切ってあんなことをしたんだし。
ありきたりだけど、代表者であり演出家でもある小西と寝た。だから、きっと大丈夫。
しかし、今回もまた端役だった。どうして…。
香は、家から出なくなった。
子供の頃の思い出が蘇ってくる。幼い頃に父を亡くし、母との二人暮しだったあの頃。再婚相手とのぎくしゃくした関係と、母親の変化。何もかもが嫌だった。
そうやって、家に閉じこもって数日が経った。家に、小西がやってきた…。
役者を目指す一人の女性の辛い人生をめぐる、香の物語。

「あわせ鏡」
かつてはミユキマートの常連だった克子。ある日、どうにも借金の首が回らなくなって夜逃げしなくてはならないという夜、ミユキマートで商品を騙し取って逃げた。人のいい幹郎を騙して。
あれから一年。今まで踏み倒してきた店には金を返そうなんて思ったこともないのに、ミユキマートにだけは返さないとと思った。そう思ってミユキマートまで足を伸ばしたのだけど、なかなか声を掛ける勇気が出てこない。
克子は今、川越のあるスナックで働いている。石橋という、ビールと焼きうどんを毎回頼む客から、今度食事でもどう、と誘われた。
心が軽くなるようだ。私なんか、私みたいな女は、幸せになれないことはわかってる。わかってるけど、夢見るくらい、いいかなぁ…。
定職を持たないダメ男栄三から離れられないけれども、新しい生活を夢見る、克子の物語。

「オヤジ狩りの夜」
加奈子はミユキマートにいる。万引きをしている。店主の幹郎は絶対に気づいてるけど、でも注意してこない。楽ちんだよ、あんな店。
加奈子の恋人の満。虫には触れない癖に昆虫オタクっていう、よくわかんない高校生。勉強もスポーツも出来るんだけど、ストレスが溜まりすぎるとオヤジ狩りをする。罪もないホームレスとかをボコボコにする。
加奈子は今、歯医者の男とエンコーしてる。月20万は魅力だ。
加奈子は、エンコーして万引きして。満はオヤジ狩りをして。
ある日加奈子は、いつものようにミユキマートで万引きをしてた。そしたら、いつもは無視するはずの店主に捕まった。で、よくわかんないけど、いろいろ話込んじゃった…。
日常の中で、少しずつ壊れていく高校生、加奈子の物語。

「ベンチに降りた奇跡」
少し前から、

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