奇術探偵曾我佳城全集 秘の巻の書評・感想

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奇術探偵曾我佳城全集 秘の巻 (講談社文庫)

まずは、本作の成立過程から。
本作は短編集で、曾我佳城という美貌の元マジシャンが活躍するミステリーシリーズなんだけど、一番初めの話が雑誌に載ったのが1980年の5月。以降、1993年くらいまではそれなりに順調に続いていたんだけど、それ以降続きが載ることはなく、2000年になってようやく3編が新たに雑誌に掲載され、20年にわたり連載された話が、ようやく一つの本にまとまった、とそういう感じです。
なんとも気の長い作品、といいましょうか。
曾我佳城というのは、マジシャンでいる時の芸名なのだけど、マジシャン仲間は彼女を今でもそう呼びます。佳城は、ある一時期絶大な脚光を浴びた天才マジシャンだったが、結婚を機にマジックの表舞台から姿を消し、以降マジックの研究に没頭する一方で、奇術関係の総合博物館を作る計画を温めながら、日々悠々過ごしているというそんな女性です。
その彼女が、警察に請われて、奇術の観点から事件を解決に導く、というようなストーリーになっています。それでは、それぞれの短編の内容をざっと。

「天井のとらんぷ」
大学の天井に、電車の天井に、家の天井に…なぜかトランプが1枚張り付くというような珍現象が流行する。その流行の発祥を追いかけてみると、ある殺人事件に行きあって…。

「シンブルの味」
ラスベガスで開催される奇術ショーにツアーで出かけた一行。夕食の席で、シンブルという奇術用の小道具を飲み込むマジックをやった男が、翌日行方不明になって…。

「空中朝顔」
朝顔の展覧会に赴いた佳城の目にとまった、空中に浮いているようにしか見えない朝顔。譲ってもらえないかと聞いてはみるが…。

「白いハンカチーフ」
規律の厳しい女子高の寮で発生した食中毒事件。テレビ番組の放送の形式をとった形で物語は進行していくのだけど…。

「バースデイロープ」
ロープ奇術のプロの演技を見せる会場となったホテルで、ロープで絞殺された死体がみつかる。ロープの結び方に謎が隠されているはずなのだけど…。

「ビルチューブ」
雪降りしきる山荘で起こった奇妙な事件。佳城のサインや宿帳などの名前が消えてしまって…。

「消える銃弾」
銃を使ったマジックで、アシスタントを銃殺してしまったマジシャン。しかし、本物の銃弾を使っていないはずなのに、何故…?

「カップと玉」
奇術雑誌を発行している奇術店に届いたある原稿。その原稿の書き手は、普段原稿をギリギリに送ってくるのに、今回は締め切り間際でもないのに速達で郵送されてきた。これは、もしかして暗号なんでは…?

「石になった人形」
腹話術師として活躍していた女性が殺された。人形が入っていたはずのトランクには何故か石がつめられていて…。

「七羽の銀鳩」
CMの撮影に使う銀鳩を佳城から借りたCMプランナーが、その銀鳩を見失ってしまう。同じ頃、近くのホテルで銀鳩がすり替えられるという事件があって…。

「剣の舞」
剣の上に人を載せる、というマジックに使われる、刃のない剣で人が殺された。マジック関係の人が二人殺されたのだけど…。

「虚像実像」
スクリーンの映像と融合する形で進行するマジックを実演中、何者かにマジシャンが殺された。犯人は一体何処へ消えたのか…?

「花火と銃声」
マンションの一室で見つかった死体。花火に合わせて撃たれた銃で殺されたのだろうと思われるのだが…。

「ジグザグ」
箱の中に人が入り、胴だけがずれて体が切り離されてしまう。ジグザグというマジックそのままに人が殺されて…。

「だるまさんがころした」
殺人事件の後、「だるまさんがころした」という怪文書が警察に届けられるようになる。マジシャンの間でだるまさんと言えばあの人なのだが…。

「ミダス王の奇跡」
人里離れた温泉で殺された女性。温泉までにつけられた足跡は、被害者女性のものしかなかったのだけど…。

「浮気な鍵」
マンションの一室で見つかった死体。鍵は掛かっていたはずなのに…。

「真珠夫人」
世界に二つとないと言われる宝石を借りてマジックをしたが、最後の最後でカモメにさらわれてしまった。落胆するはずの持ち主はしかし…。

「とらんぷの歌」
トランプ当てというマジックを見せたマジシャンが、実演後すぐに殺された。ポケットには、セットされたカードが入っていたのだが…。

「百魔術」
百物語風に100の奇術をやるという集まりで、100個やり終えた時にマジシャンの一人が死んだ。毒殺だと思われたが、どうやって…?

「おしゃべり鏡」
ジャグリングが好きな三人をマジックショーに招待した男。その男から渡された写真、これって何かおかしい…。

「魔術城落成」
佳城が12年の歳月を掛けて完成させた奇術博物館、その名も「佳城苑」。そのお披露目会の最中、舞台で死体が見つかった。事故だと思われたのだけれども…。

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