プリズン・ガールの書評・感想

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プリズン・ガール―アメリカ女子刑務所での22か月 (新潮文庫)

本書は、とある事情からアメリカの女子刑務所に入ることになってしまった日本人女性の体験記です。
著者は、何となくニューヨークに住みたくなってアメリカに行った人。特別目的があるわけでもなく、ただ何となく日本に帰りたくなくてニューヨークに残っている、というような感じ。今は遠距離恋愛だけど、ニューヨークで知り合った日本人男性と付き合っていて、日本に帰ったら結婚しよう、という話もしているのだ。
そんな時に出会ったのがアレックス。ニューヨークでは真面目そうに見える日本人女性は結構モテるようで、これまでもいろいろ声を掛けられていたんだけど、それでも誘いに乗ることはなかった。アレックスも金髪イケメンで別に初めは興味があるわけでもなかったんだけど、次第に惹かれていってしまった。
しかしある時、何気なくアレックスの仕事を聞いてびっくりした。なんとアレックスはロシア・マフィアであり、ニューヨークでもトップクラスの麻薬の密売人だというのだ。
しかしそれでもアレックスを愛する気持ちは変わらない。彼氏にも別れて欲しいという話をした。それぐらいアレックスに惹かれてしまっていた。
しかしある日、その時がやってきてしまった。何日もアレックスから連絡が来ない時が続いたその日、部屋にFBIがやってきたのだ。アレックスが捕まったのだ、そう覚悟した著者は、家宅捜索ぐらいされるのだろうと考えていた。しかし実際はもっととんでもないことが起こったのだ。
著者は逮捕されてしまったのだ。
何でもアレックスの共犯だとみなされてしまっているらしい。著者のクレジットカードで麻薬の取引がされていることもあるし、中身が何か知らなかったにせよ一度アレックスの荷物を送るのを手伝ったことがある。それで共犯だということになってしまった。
著者は麻薬の取引になんかまったく関わっていない。しかしアレックスがマフィアであることを知った上で付き合っていたのも事実だし、それを否定したくもない。だから仕方ない。諦めて刑務所に入ろう。
そんな風に考えて、著者はFCIと呼ばれる組織犯罪者が多く収容されている女子刑務所に入ることになってしまったのだ。
そこはまさにもう一つのアメリカだった。様々な人種、そして様々な犯歴の人が集い、一つの社会が形成されている。トラブルは絶えないし、理不尽なことも多いし、我慢しなくてはいけないことも多いのだけど、一方で楽しいと思えることも結構あった。犯罪者とは思えないほど親切な人がたくさんいるし、著者と同じく罪もないのに収容されているような人も結構いた。刑務所という閉ざされた空間の中でいかにして楽しく生きていくのか。FCIというのはそういう場所だった。
そんな著者の、結構ポップで明るい獄中記です。

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