日本テレビとCIAの書評・感想

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日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」 (宝島SUGOI文庫)

本書は、日本テレビの設立の陰にはCIAが存在していた、という極秘資料の存在を元に、戦後の日本にいかにして民間初のテレビ局が開局したのかという流れを、アメリカ側がどういう思惑で日本のテレビ局開局に奔走したのかという面を強調したノンフィクションです。
大雑把な流れを書くとこんな感じです。
戦後いろいろあってアメリカは、日本を反共の防波堤の核としようと考えます。日本を共産主義に染めないことももちろんそうだけど、日本にあれこれ関わり、アジア全体の反共の防波堤にしよう、と目論みます。
その施策の一つとして、「テレビを含む国際通信のためのユニテル・リレー網計画」というものを構想します。
これは壮大な計画でした。アジア全体の安全保障のために、マイクロ波通信網を整備するという内容なんだけど、これはテレビやラジオだけではなく、軍事ファクシミリや警察無線、航空防空管制など様々な用途に使える、多重通信網の構想です。
アメリカはこの多重通信網を実現するために、この計画においてアジアの「北のアンカー」としての役割を担うことが出来る日本に、全国的なテレビ・通信リレー網を持つユニットをまず日本に建設するとしています。その後このネットワークをアジア全域に拡大し、アジア全体でのリレー網を完成させる、という大きな構想を持っていました。
日本テレビというのは、まさにそのユニテル・リレー網計画の第一歩であり、その壮大な計画が第一歩だけで終わってしまったその名残だ、というわけです。
日本テレビ開局の裏には、様々な「神話」があったようです。日本テレビ開局に奔走した正力松太郎は、当時戦犯容疑が掛けられてたけど、正力がアメリカ側に働きかけて解除してもらったとか、当時アメリカ側と交渉していた柴田という男は、日本の総理大臣でも会えないようなアメリカのトップクラスの人々に何故頻繁に会うことが出来たのかなど、いろいろと「神話」があるようです。
ただそれも、アメリカ側の文書から見てみると、結局のところ正力にしても柴田にしてもアメリカ側に翻弄されていただけだ、ということが分かります。
まあそんなわけで、日本初の民間テレビ局開局の陰には、実に壮大な計画があり、またジャパン・ロビーやドゥマン・グループと呼ばれる人々が陰で動き、当時の日本政府なども大々的に巻き込んでいた、ということが分かる作品です。

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