夏の王国で目覚めないの書評・感想

2464views黒夜行黒夜行

このエントリーをはてなブックマークに追加
夏の王国で目覚めない (ハヤカワ・ミステリワールド)

物語のきっかけは、『月の裏側』というとあるサイト。
三島加深という、決して知名度が高いわけではないけど熱狂的なファンのついている小説家がいる。これまで4作の小説を発表したが、それから沈黙したままであり、略歴や近影などもすべて謎、という、カルト的な人気を獲得するのに十分な背景を持つ作家だった。
天野美咲はある時、妙な噂を耳にした。三島加深のファンサイトのどこかに隠しサイトがあって、課されるゲームをクリアすると、三島加深に関する重要な秘密を知ることが出来る、と。
そうしてたどり着いたのが、『月の裏側』というサイトだった。
そこには既に、美咲と同じように難関をクリアしたと思しき人達が掲示板を通じて会話をしていた。特別変わったところもないサイトで、三島加深のコアなファンだけを集めて交流させようという意図のサイトなのだろう。美咲はそう判断した。
状況が変わったのは、一通のメールが届いたからだった。
それには、『架空遊戯』と題された大掛かりなゲームに参加しないか、という案内メールだった。
三日間、与えられた役柄を演じる。そして、コマンドと呼ばれる指示に従い、途中で起こる殺人事件の謎を解く、というミステリイベントのようだ。見事謎を解き明かしたものには、ジョーカーと名乗るメールの差出人が持っているという、三島加深の未発表原稿を与える、という内容だった。
高校生である美咲は悩んだ。イベント中は家族を含む外部とは一切連絡を取ってはいけないという。高校生の身分で、それは許されるだろうか?
しかし美咲は、三島加深の未発表原稿の誘惑に負け、イベントに応募することにした。
当日。これまで掲示板を通じてやり取りしていたのであろう、一度も会ったことがない人達(与えられた役名ではない本名などの個人情報をやり取りするのは禁じられている)と、しかしゲームの設定上は全員知り合い、という奇妙な状況の中、みな恐る恐る、自らに与えられたセリフを言い、イベントはスタートする…。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く