R62号の発明・鉛の卵の書評・感想

1838views黒夜行黒夜行

このエントリーをはてなブックマークに追加
R62号の発明・鉛の卵 (新潮文庫)

「R62号の発明」
自殺しようとしていた青年は、ある学生に、生きたまま「死体」として売られないか、と持ちかけられる。その話に乗ることにした青年は、手術によってロボットに作り変えられてしまう。ロボットとなった青年は、人間に効率よく仕事をさせる機械を作るように命じられるのだけど…。

「パニック」
失業し、職業相談所に通う男は、そこから出てきた時男に声を掛けられた。なんでも、いい仕事があるのだという。奇妙な申し込み用紙(名前や住所は不要であるのに、項目に「欲望」なんていうのがある)を携え指定された飲み屋に行くと、そこには男が一人。べろんべろんに酔っ払いその男の部屋で一晩過ごしたらしい男は、翌朝目覚めて驚いた。昨日一緒に飲んでた男が、血まみれになって死んでいるのである…。

「犬」
友人が結婚をした。結婚相手の女性は、ある意味で非常に評判のいい、そしてある意味で非常に評判の悪い女医であって、ぼくは初めからその結婚には反対だった。
友人の細君は犬を飼っていた。ぼくは犬が嫌いだ。友人も、その犬を毛嫌いしているらしい。しかし、それを我慢している。
そのうち友人から手紙が届いた。そこには、友人と犬との壮絶な死闘が描かれていたのだが…。

「変形の記録」
コレラに罹って部隊に置き去りにされた男は、向かってきたトラックに水をくれと求めた。望み通り水はもらえたが、射殺されてしまった。男の魂はそのまま肉体から離れ、彼を撃ち殺した兵士の乗っているトラックに便乗し、彼らと同行を共にするのだが…。

「死んだ娘が歌った」
家族を養うために東京に出て、住み込みで働くことになった少女は、しかし眠り薬を大量に服用して自殺してしまう。少女は魂だけの存在になって、雇い主や家族や元いた工場の様子なんかを覗き見るのだけど…。

「盲腸」
大規模な食糧危機を目の前にして、ある実験が行われている。羊の盲腸を移植した男が、数ヶ月を待って、ようやく藁を食べるところまできたのだった。これが成功すれば、抜本的な食料危機の解決になるはずだったのだが…。

「棒」
デパートの屋上から落ちてしまった男は、落ちていく過程で棒になってしまった。それを拾った教授と学生二人が、この棒から何がわかるか、そしてこの棒にどんな罰を与えるべきかを考えるのだが…。

「人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち」
人肉を食す側の代表である紳士三人と、その彼らに食べられてしまう側の代表である男一人が、人肉を食すことそのものについての議論を交わす。食される側は、人間が人間を食べることはどう考えてもおかしいと主張するのだが、食す側はその理屈をどうしても理解することができないのだ…。

「鍵」
母親が死に、生前言われていたように叔父を訪ねることにした男は、なんとか叔父の元まで辿り着くのだが、叔父は非常に偏屈であった。万能な嘘発見器であるという盲目の娘を常に従えさせ、発明のアイデアを盗まれるのではないかと猜疑心を膨らませながら彼らは生活するのだが…。

「耳の価値」
何故警察に捕まってしまったのかわからない青年は、釈放されてから学校へと向かった。そこで出会った男と、奇妙な六法全書を使ったアルバイトの話をする。その男は、非常にいい耳をしていた。耳と六法全書、そして安部公房…。

「鏡と呼子」
教師としてある学校へと赴任することになった男は、ある男の家で世話してもらうことになった。そこには、遠望鏡とでもいうようなもので人を観察する男と、食事の世話などをする小母がいた。学校の同僚から、彼らについての変な話を聞かされるが…。

「鉛の卵」
地中から鉛の卵とでも呼ぶべきものが発見された。それは、一種の冬眠器であり、1987年に埋められ、100年後の2087年に開けられる予定であったらしいが、なんの手違いか80万年後に発見され開けられることとなった。古代人と呼ばれることになった男は、80万年という途方もない時間の間に起きた異常な人類の変化に驚くことに…。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く