星やどりの声の書評・感想

2793views黒夜行黒夜行

このエントリーをはてなブックマークに追加
星やどりの声

舞台は、快速に乗れば50分程で新宿までたどり着く、海沿いの町・連ヶ浜。商店街から少し離れたところにある「星やどり」という軽食喫茶の店で物語は生まれる。
建築家だった父は、六人兄弟がまだ小さい頃、ガンで亡くなった。それから、星やどりの切り盛りは、すべて母・律子の双肩に掛かることになった。ビーフシチューと自家焙煎のコーヒーが自慢の店。子どもたちはみんな、父とビーフシチューが大好きだ。
就職活動が全然うまくいかなくて焦っている長男・光彦。常にカメラを持ち歩き、まったくランドセルが似合わない大人びた三男・真歩。サンダルとばっちりメイクで高校に行き、派手な友達と全力で若さを謳歌する二女・小春。アホ全開で、でも幼馴染の女の子の動向が気になる二男・凌馬。小春と双子の姉妹で、でも小春とは対照的に黒髪ノーメイクで秀才の三女・るり。そして、父のいなくなった早坂家を必死で支え続けた長女・琴美。
兄弟たちの中には、いつまでもずっと父親の面影が夏の余韻のように残っている。それぞれが、自分の置かれた立ち位置から、自分の将来と早坂家の将来を見ている。父親という中心をぽっかりと失った早坂家は、ところどころ見えない隙間に侵食されながら、少しずつその形を削り取られていく。
星やどりにはブランコの形をした席があり、その席の常連のおじいさんがいる。茶色のカーディガンをいつも来てるから、ブラウンおじいちゃんとみんな呼んでいる。そのブラウンおじいちゃんが店に来なくなったことが、一つのきっかけだった…。

星やどりの声

星やどりの声

  • 朝井リョウ

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く