物書きを目指し自立するための文章力を上げるトレーニング方法

3060viewskafkalifekafkalife

このエントリーをはてなブックマークに追加
君だけの物語

About

 理不尽な本社対応を上司に糾弾したために、報復的に左遷される主人公。広報室次長から一転ゴミ拾い作業員として働く主人公が、物書きを目指し自立するまでの物語。
 彼が実践したトレーニングを、そのまま物書きのためのHow-toとして読むことができる。

<人生を仕事だけで終えるのか? 物語を作りたい。人々をはらはらどきどきさせたり、わくわくさせたり、あっと驚かせたり、ほろりとさせたい>

 「読みやすい」文章を 

●余白を作らない
⇒余白があった方が読みやすくなるものの、新人の場合は物語が密度スカスカになる悪点の方が大きい。

●<~と言った>、を使わない
 カギ括弧(「」)それ自体が「言った」ということを表すアイコン。
 『私は「その時のことは思い出したくないんです」と言った。』×陳腐な二重表現。

⇒『私は「その時のことは思い出したくないんです」と顔を背けた。』
⇒『「その時のことは話せません」私は語気を強めた。「思い出したくもない」』
 など。

●擬声語は使わない。擬態語は削っても意味が通るか意識する
 『イヌがワンワンと吠えた。』×
⇒実際にイヌは「ワンワン」とは吠えない。擬声語表現の多くは文章を陳腐にする。『鋭く吠えた』など。
 『つややかですべすべした肌』×
⇒『つややかな肌』でも意味は通る。

●「思わず」を多用しない
 『思わず言った。』『思わずブレーキを踏んだ。』× 「思わず」というのは本当に思っていない時だけ。
 ⇒『弾みで口に出た。』『反射的にブレーキを踏んだ。』が正しい状況ではないか?

●体言止めを多用しない
 体言止めは省略形であり、読者に補完を要求する「高負荷表現」。ここぞという使い時だけ。

●文章の意味が通りにくいときは
⇒文章の順番を入れ替える。読点を入れるあるいは減らす。代名詞を減らす。朗読する。

●その他、細かな配慮
 『分けられることが分かった。』×⇒「判った」。小説内全体で統一する。
 『犬、狼、コヨーテ』『人参、茄子、キャベツ。』×⇒「イヌ、オオカミ、コヨーテ」「ニンジン、ナス、キャベツ」。全体で統一する。

 「読める」物語を 

●一つの場面で一人の視点に固定する「一場面一視点の法則」
 『その時、足元に血痕があったことに彼は気づかなかった。』×
 場面全体を三人称で描写すると「神の視点(作者の視点)」になりがち。
⇒カメラを場面の誰か(何か)に決めて、そのカメラに映らないものは描かないこと。

●説明ではなく描写をする
 『由美子は短気な女だった。最近は彼氏ともうまくいっていない。』× 神の視点で書くと単なる説明になりがち。
⇒『由美子は携帯電話をしばらく握りしめ、それから力任せにソファに叩きつけた。』
⇒『「自分が一番じゃなきゃすぐ不機嫌になるからな、由美子は」二本目の煙草を取り出す博之の表情にはどこか楽しげな含みがある。「あんな気の多い彼氏とじゃ、長くは続かねえよ」』
 カメラが定まると自然と描写になっていく。

 美しいものを美しいと描かない。汚いものを汚いと書かない。登場人物に実演をさせること。それを通して読者に実感をさせること。

●登場人物を最小限に抑える
 例えば刑事が聞き込みするシーン。夫婦に聞き込む場合、話をするのは夫だけでもよい。四件訊ねる場合、「その日はさらに三件の家を回ったが、これ以上の情報は出てこなかった」など。

●時間経過に沿って書く
 回想は読者に想像のリセットを求める。また読者は結末が分かっている。
 回想せずとも表現できることがある。『胸に残る古傷がうずいた。』

●主人公の情報は早めに読者に伝える
 主人公は視点の主であるため、実は容姿を描写しにくい。相手との比較(博之は自分より背の高い男を初めて見た)や会話(「お前、同じスーツを何日着てんだよ」)をうまく使う。

 「面白い」物語へ 

●テーマを威張らせない
 でしゃばり過ぎると反発する。テーマとは『北風と太陽』のようなもの。エンタメとしてまず完成度を高める。

●非日常を描く、絵になる背景を書く
 非日常を描くには日常が描けなければならない。

●ありきたりな設定を避ける、リアリティとは読者を惹き込む力のこと
 リアリティとは「それっぽさ」の実感。形、色、臭い、動き、物音。空想でもよい。

●意外性とは何か、主人公を谷底へ突き落とせ
 意外性と唐突は別。読者が納得できるかが大事。納得とは伏線のこと。「この先どうなるの?」というドキドキが物語の牽引力。
 

 モチベーションの保ち方 

文字数足りず。詳細は本書で。

●自分に書けるものを探す

●個性を出そうと無理する必要はない

●チャンドラー方式を実践せよ

●修行中はどんどん書いてどんどん捨てる

●創作は慣れればなんとかなる

●二年や三年ダメだったからといって本当にダメとは限らない

●追いつめられた状況はチャンスでもある

●人生は一度しかないのだから物語を書こう

 終わりに 

主人公の実直な人柄。家族との不和と和解。単純に物語として面白い本でした。

君だけの物語

君だけの物語

  • 山本ひろし

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く