第24回小説すばる新人賞受賞作。サラの柔らかな香車のストーリーまとめ

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サラの柔らかな香車

概要

 第24回小説すばる新人賞受賞作。

 かつてプロ棋士を目指すが挫折しパチプロに落ちぶれた男、瀬尾。
 小学生の間で「天才少女」という言葉を欲しいままにしていた神童、七海。
 決して入るまいと決めていた女流棋士の世界で君臨する塔子。
 

 そこに現れた青い目を持つ不思議な少女サラが三人の運命を大きく変えていく。

 一人の天才が世界を一変させることを体感できる読後感爽やかな青春小説。

前段

 対局室に二人の「よろしくおねがいします」の声が同時に響く。
 上座を占めるのは日本人女性だが、
 その相手はブロンドの髪と青い目を持つ少女だった。

前哨戦/些細な奇跡

 6年前の名人戦の記憶から物語は始まる。
 芥川名人の3勝1敗で迎えた第五局。対するは石黒竜王。

 市民ホールでこの将棋の大盤解説が行われている。
 そこへ現れた一人の少女が指した3六歩の一手が会場を凍りつかせる。

 大盤の解説者であった女流名人・萩原塔子すら思いもかけないその1手を、
 その後、芥川名人が指したからだ。
 

 少女はただ「美しい」というポルトガル語を呟いて去っていった。

序盤戦/ブラジルから来た少女

 少女の名は護池・レメディオス・サラ。
 ブラジルから母マリアと共に日本に来た。

 父親はサラとの二人旅の途中で死んだが、サラは真剣師の父から将棋を教わった。
 美しい風景と共に差していたため、サラは将棋の駒から風景を感じ取ることができ、
 それが後のサラの天才的で直感的な将棋センスにつながっていく。
 

 将棋の世界から落ちぶれてパチプロとして生活していた瀬尾は、
 日本のとある団地でサラと出会い、サラに将棋を教えることになる。

中盤戦/天才少女

 一方、幼少時から天才少女の名を欲しいままにしていた北森七海は
 女流棋士界に君臨する萩原塔子に憧れ、女流棋士を目指していた。

 テレビの密着取材もこなしながら、当然棋士になれるだろうと思っていた頃、
 将棋センターでまだ初心者のサラに出会う。しかし当時は七海の敵ではなかった。

 やがて七海は将棋人生でクライマックスと位置付けていた小学生名人戦で
 サラと相対することになるが、二度戦い二度負けてしまう。
 七海は慢心していたためか心が折れてしまい、将棋の世界から去ってしまう。

 一方、瀬尾は2年前、塔子と賭けをしていた。
 塔子がサラと戦い「負けたほうが勝ったほうの言うことをきく」と。

終盤戦/見えるもの、見えざるもの

 塔子とサラの戦いは終盤となり、サラが塔子を追い詰めていた。
 そしてここで塔子に最大のトラブルが訪れる。

 塔子とサラの勝負の行方は?
 そして瀬尾と塔子の賭けはどうなったのか?

感想戦/女神は死なない

 塔子とサラの戦いを遠くで見ていた七海に大きな心の変化が訪れる。
 最後に七海が取った思いがけない行動とは?

まとめ

 「小説すばる新人賞」の受賞作らしく、とても爽やかな読後感の作品です。
 また、作者の橋本長道氏の文章表現が柔らかく且つ的確でした。
 

 作者のプロフィールを見ると奨励会で1級まで昇級しているということもあり、
 将棋界の仕組みや流れがしっかりと書けていて説得力もありました。

 また、将棋界で感じていたであろう「才能とは何か?」という命題が
 この本では問いかけられており、それがこの作品の深みとなっています。

 青春小説が好きな人は十分楽しめる内容です。
 また、将棋が好きな人は「未来の将棋」にワクワクさせられること請け合いです。

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