板倉雄一郎の倒産までの思いとは。

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社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由

経営者は読むべき一冊!

板倉雄一郎の倒産までの思い

フェラーリに乗って何が悪いんだ。だいたいが会社の金で買ったわけじゃない。ちゃんと自分の個人収入で手に入れたんだ。社用車族にそんなこと言われたくない。なぜあえてインタビューでプライベートな部分まで答えたのか、わかっているのか。ベンチャー経営者が質素な生活をして二四時間会社のことばかり考えてます、などと言ったら、若手の才能のある人材がベンチャービジネスを果たして望むか。大半は大企業に逃げてしまう。

ぼくは愚かだった。ヒトは企業の最大の財産だ。特にうちのような中小企業にとっては、最後はカネじゃない、ヒトだ。でも、ぼくは資金繰りに追われて、その基本を忘れていた。それでも組織は維持しなければならない。たとえ些末な出来事だろうと、クーデターはクーデターだ。何より当人達がそれを認めていた。事件発覚から一週間、ぼくはクーデター関係者全員を解雇した。つらい仕事だった。

ぼくは顔の見えない「向こうの人」だ。新たに引き込んだ社歴の浅いスタッフや外部の人間ばかりが社長室を出たり入ったりし、ぼくと社員の間の壁は高くなる一方だった。事業方針を変更するたびに社内からあからさまな苦情や不満がよせられるようになった。そして情けないことに、ぼくは彼らの苦情や不満を蹴散らすだけの「何か」をもはや持っていなかったのだ。

ハイパーネット程度の企業規模だと、経営者の業務範囲はきわめて広い。ビジョン策定や海外進出の計画から日々の細かな労務管理、作業管理まで仕事は多岐に渡る。ところが、ぼくは日々のオペレーションが苦手だった。将来のビジョンを打ち立て、それに向かって人を集め、事業計画を作り、成長を促すといったいわゆる「アントレプレナー」としての仕事は肌に合っていたし、うぬぼれを承知で言うとある程度才能もあったと思う。しかしその一方で、人事や財務、総務の管理それに金融機関との付き合いといった地道な作業については、どうしても体も頭もお留守になりがちだった。現場の不満がつのったのもぼくがこうした日々の仕事をきちんとこなしていなかったからに違いない。

山一の経営破綻報道を見て、読んで、このときぼくはどう思ったか。不謹慎かもしれないが、正直に書こう。ぼくはこう思った。もういいや、倒産しても。人問、本当にせっぱつまると案外つまらぬことを考えるものだ。でも、ぼくは心底こう思ったのだ。もういい。もうつぶれてもいい。あの山一がつぶれちまうんだ。おれがつぶれたって別におかしくない。肩の力が抜けた。ぼくの中で、実にあっさりと決心がついた。

我々はもう考えを変えなければならなかった。これまでは、どうやって成長するかという思考に支配されていたが、今度は、どうやって片づけるかを考えねばならない。

ぼくは日本の企業社会において経営者を務めるうえで、致命的な欠陥を有していた。「組織」に対する理解がまったくなかったのである。社内人事、社外営業、金融機関との付き合い、広告主との付き合い、マスコミへの対応、そしてプライベートでの振る舞い。どの場面においても、企業や社会といった組織に対する根本的な理解を欠いていたがゆえのミスを、ぼくはいくつも犯してきた。そしてある意味で、これらのミスの集積が倒産につながったといっても過言ではない、と今では思っている。なぜ組織に対して無理解だったのか。生得的な性格に加え、ビジネスライフをいきなり社長業からスタートしたというのが大きな理由だろう。人に仕えた経験はほぼ皆無。経営していた企業の社員数は、倒産までの数年間を除き、せいぜい十数人程度。結果、ぼくは大組織がどんな論理で成り立ち、その組織を構成する人間が何を行動規範としているかを学ぶ機会を逸してしまった。

今のアプリ開発状況と似ている

ゲーム業界はソフトの玉数がそろわなければ市場を席巻できない。アスキーはとにかく大量のソフトの制作を望んでいた。しかも一本500万円出すという。当時のぼくの月収は一五万円だ。これは人の会社で使われている場合ではない。

ゲームソフトの開発は、当たるも八卦当たらぬも八卦である。だから、ソフトをたくさん開発して世に出せば、大ヒットの可能性も増える。ヒットが続けば、当然ロイヤルティ収入も増える。結果、会社は成長する。しかしどうだろう。現実に大ヒット商品なんてそう簡単にできるわけはない。ましてや毎年出し続けるのはきわめて困難だ。しかも当時複数のゲームメーカーが続々と店頭公開を果たしていた。すでに先を行く他社に今から追いつくのは難しい。

感想

本屋さんで題名にひかれて買った本。すごく、考えさせられる。社長って大変なんだなぁ。きらびやかな世界だけじゃないんだ。

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