放課後の音符(キイノート)の書評・感想

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放課後の音符(キイノート) (新潮文庫)

<背景ー裏表紙要約より>

大人でも子供でもない、どっちつかずのもどかしい時間。まだ、恋の匂いにも揺れる17歳の日々――。背伸びした恋。心の中で発酵してきた甘い感情。片思いのまま終ってしまった憧れ、好きな人のいない放課後なんてつまらない。授業が終った放課後、17歳の感性がさまざまな音符となり、私たちだけにパステル調の旋律を奏でてくれる……。女子高生の心象を繊細に綴る8編の恋愛小説。

<Pick Up The Scene>

【彼女は片目をつぶって、悪戯っぽく笑って言った。「書くことが、すごく情熱的だから、このくらい地味なのでいいのよ」】

最初の1編、「Body Cocktail」より。
クラスで人気のある女の子たちは、よく笑い、流行りの服を着て、男子の目を気にするタイプの子たちだが、カナはそういう女の子ではない。
男性と寝ることが彼女の日常だけれど、そのことを周りに吹聴したりしないし、シンプルな黒いセーターだけを身につける潔さを持っているオトナっぽい17歳。
「わたしのいい人」に宛てた手紙も、とてもシンプルな便箋だけれど、書くことが情熱的だからちょうどいい。
語り手の女の子が思わず憧れるような、カナのショートストーリー。

【「恋をすると喉が乾くのよ。ジントニックはそういう時にぴったり。まあ、黄色い声をあげてるような恋しか出来ない人には解らないと思うけどね」】

4編目、「Crystal Silence」より。
夏休み終盤、思い切ったことが何も出来なくて、不満ばかり口をついて出る女の子たちの中で、マリは真っ黒になって現れた。
可愛いけれどみんな似たような服なんか着ないで、白いタンクトップにショートパンツだけの誰にも媚びない女の子。
マリは夏休み中、「男の子に恋してた」と話すが皆は「恋なんて言い方、ちょっと古い」と相手にしない。
でも「私」はマリの大人っぽさに惹かれてしまう。
私たちの生活は、自分の価値観じゃなく、ブランドやショップのように多数決の世界で決められてしまうけれど、マリの恋はそんなものに左右されないものだったのだ。

【「私が言わないって決めたのは、私もどうせ恋をするなら、先輩たちみたいに、素敵にしようって思っちゃったからだわ。」】

7編目、「Salt and Pepa」より。
偶然「私」が忘れ物を取りに入った音楽室で、音楽の松山先生とカヨコ先輩が抱き合っているのを見てしまう。
静かにこっそりと抱き合っている二人は、誰かに言うことなんて考えつかないくらい綺麗で素敵だった。
思わず大きく息を吐いて、二人に気づかれてしまい、カヨコ先輩と話をすることに。
誰かに話すつもり?と聞く先輩に、「私」は驚いてしまう。あんなに綺麗な二人を誰かに話すなんて、そんな心ない女の子ではないのに。
「私」は二人の素敵な恋に憧れながら、心に秘密をしまい込む決心をするのだった。

<感想>

すごくキレイな短編小説が満載。
男性にはちょっと難解で糖度高すぎる気もしますが
何度も繰り返し読みたくなる一冊。

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