クラスの中に潜む謎。二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらないの書評・概要

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二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない (集英社スーパーダッシュ文庫)

本書の概要

 変わり者ばかりが集められたクラスのメンバー達が起こす騒動を、パズル要素を含めて描く。本名と異名の対比は自分で見つけなくてはなりません。これが結構面白い。

本書の構成

 久しぶりにメモをとりながら本を読んでしまった。本文中、登場する二年四組の生徒35名の異名と本名の対比が秘匿されていて、各章で小出しにされる情報を突き合せなければ、その対比が明らかにならないという、一種のパズル要素を含んでいるのだ。このため、情報をメモしつつ、対比表を完成させていった。
 しかし、第6章までには、消去法も含めて、全ての登場人物の対比表が完成するので、そこからは普通の物語として楽しめる。そして、物語が怒涛の展開に突入するのも大体それ以降なので、全体構成としても、パズルパートと騒動パートに分かれていると言って良いかも知れない。

クラスの中に潜む謎

 私立伯東高校の新人教師の愛川奈美は、先輩教師たちの陰謀によって、非常に個性的なメンバーばかりが集められた隔離クラスの担任を任される事になる。ありきたりな不良や不登校生徒は当然として、クラッキングや機械工作で犯罪スレスレのことをやる生徒、政治家や金持ちの娘とメイド、成績優秀だが性格が捻じ曲がっているヤツ、親から虐待されていた生徒などもいる。こんなバラバラになりそうなクラスを統率しているのが、委員長と裏ボスだ。前者は知恵と人脈によって、後者は実力によってクラスに一体感を醸成している。
 そんな委員長が新学期早々クラスメイトに課したのが、交換日記だ。一冊のノートを誰かに配布し、その人物がその一日の出来事を書いて誰かに渡す。誰が書いたのか分からない様、匿名性を重視して、基本的に人物は異名で書き表わされるのだ。

交換日記が明らかにする騒動

 そんな交換日記が始まって数日すると、クラスメイトが各々、ちょっとした出来事に巻き込まれているのが分かる。それはバラバラだとよく分からないのだけれど、日記の記述が進むにつれ、事態はつながっていき、最後は結構な大事になってしまうのだ。
 そしてそんな大事件の影で、高校生らしくと言おうか、様々な恋愛事情、人間模様も明らかになっていく。

感情移入のツールとして

 パズルとして数学的な厳密さがあるわけではないと思うし、余詰めのある詰め将棋みたいな印象も受けるが、ストーリー展開を補助する一要素として考えた場合には、大勢のキャラクターを把握するために読者はそれなりに手間をかけなければならないため、それぞれに対する理解が深まり、物語への移入を容易にするツールとして十分機能している気がする。
 一ヶ月だけでこの怒涛の展開だったので、彼らに周りには今後も事件は起きるだろう。それをこれからどう描いていくかに、作者の技量が問われてくる気がする。次回は同様の手法は使えないだろうから。

イラストに一言

 今回の表紙のイラストは普通にキャラが並んでいるだけの様で、人間関係をよく表現していると思った。

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