陪審裁判を考える。日米の陪審裁判の違い

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陪審裁判を考える―法廷にみる日米文化比較 (中公新書)

1、概説・書評

著者は日本での陪審研究の第一人者である。
出版はやや前なので最新の状況を表しているとはいいがたいが、内容について陪審裁判の本質や基本的役割を知る上では意味があろうと思う。

2、内容の要約

■日本の裁判
いくつかの誤審冤罪事例(仁保事件)における取調べの問題などを挙げている。
いったん強引にとられた自白の内容が調書となって、それが法廷にそのまま持ち込まれ
証拠として使われることの問題。

→法廷で直接証言することの重要性

■アメリカ合衆国の陪審裁判

・『十二人の怒れる男たち』

・日本よりも高い無罪率

・ウィリー事件(1986年)

・陪審裁判(刑事)のプロセス
逮捕-大陪審(2日以内)-罪状認否-陪審裁判-陪審選定手続-公判-説示-評議-評決

・陪審選定手続(Voir Dire)
理由付き免除(excuse for cause)と無条件拒否(peremptory challenge)

・席の位置
陪審員の方を見てしゃべるようにされている

・裁判官の説示
刑事訴訟の場合、刑事訴訟の大原則、証拠法の大原則を示す

・陪審員の評議
本人達以外は知ることはできない

・陪審裁判のルーツ
<中世>
ノルマン人の免責宣誓者制度
神明裁判
決闘形式

<近世>
英国では裁判官の判断に従わせるような圧力がかけられた
米国では、英国人裁判官に対する砦として陪審裁判を行い、独立後には憲法にその権利を明記した

・陪審裁判の問題
公平な代表性の問題、時間効率の問題

■陪審裁判の実際

・著者の体験記
主に裁判官の仕事ぶりや、陪審員の置かれている状況での反応についてつぶさに書いている

・問答の反訳

■日本の(旧)陪審裁判制度

明治期に日本には陪審裁判の概念が輸入され、議論されていた
(陪審員=「誓士」、「法士」などと訳された)

立憲政友会(原敬)による陪審制度の党議化

実施後には無罪率が向上したが、その後利用者が減り、1943年法律の停止がなされた
陪審不適格の罪、被告人の費用負担、控訴ができないなど被告人の不利益が大きい

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