憲法で読むアメリカ史 下の書評とアメリカ歴史紹介!

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憲法で読むアメリカ史 下 PHP新書 (319)

1、概説・書評
文庫本の割りにかなりの厚さと密度。
大学の英米法の講義よりもボリュームありそう。だけど読みやすさはある。
合衆国誕生の歴史については上巻参照だが、下巻から読んでも読める。
おおよその構成(本の構成及び時代順)は下記2の通り。

2、内容の要約
■南北戦争
奴隷解放宣言:ドレッド・スコット事件判決を無視
戦後、修正第13条により奴隷制廃止が謳われる
敗北した南部諸州の取り扱い(融和:リンカーン、ジョンソン or強硬:多数派の共和党)

■開放奴隷局法と公民権法
・開放奴隷局法を違憲とするジョンソン大統領←議会の多数で覆る
・公民権法も違憲←議会の多数で覆る

■修正第14条
・5分の3条項の廃止

■ジョンソン大統領の弾劾裁判
・一票差で否決

■グラント大統領時代の修正第15条批准
・合衆国市民の投票権の平等
・あくまで州に対するもの

■黒人迫害、KKK
・チャールズ・サムナー上院議員
・公民権法制定
選挙だけでなく日常生活における差別の禁止
→違憲判決

■忠誠宣誓の違憲判断
・カミングス対ミズーリ事件
1865年ミズーリ州憲法を違憲とする

・ガーランド事件
1865年連邦審査法を違憲とする

→軍事再建法では無視され、忠誠宣誓が明文で規定される

■軍事再建法の違憲訴訟
・ミズーリ州、ジョージア州
→高度の政治的判断によるものとして審理されず退けられる

・マクカードル事件

■修正第14条の解釈
・最高裁 1873年 スローターハウス事件

<事件概要>
ルイジアナ州議会 ニューオリンズ市の食肉解体に関する新しい法律制定
賄賂を贈っていた食肉企業に独占的な処理場運営の権利が与えられ、
憤慨した他の地元業者が元最高裁判事のジョン・キャンベルを雇って次々訴訟提起
→上訴により一括して連邦裁に係属

<判決>
合憲(被告勝訴)。
自前の食肉処理場を持たないからといって修正13条にいう苦役には当たらず、
修正14条は連邦に対しての権利であり、州民としての権利についてのものではない。

・1883年 公民権事件

■合衆国の発展期
・保守派と進歩派の対立(小さな政府と大きな政府)

・契約条項(第1条10節1項の中の一つ)の解釈
ダートマス・カレッジvウッドワード事件(1819 マーシャル判事)
→契約条項には国王や州との取り決めや許可も含まれる
チャールズリバー・ブリッジvウォーレン・ブリッジ事件(1837 トーニー判事)
→経済の発展のために黙示の独占権を認めない(反対意見あり)

・州際通商条項と共通市場の確立

Gibbons v. Ogden (1824 マーシャル判事) 「州際通商」の意味

通商には、あらゆる商業上の交流を含む(広く解する)

・経済規制

契約条項と州際通商条項→州の規制を違憲とし、次第に連邦の規制にも敵対的になる
(デュープロセス条項の解釈をしなおす)

■経済活動規制とデュープロセス
デュープロセス条項 修正第5条と修正第14条

手続的保障と実体的保障(19C以降)

→ドレッド・スコット判決

州法による私人への経済的規制には、度々連邦最高裁判決で具体的内容によっては違憲
となりうるという実体的デュープロセスの考えによった意見が付されてきている

■連邦行政府の拡大=行政国家現象

■ニューディール政策と憲法
・合憲性の疑わしい州法→深刻な経済情勢への配慮から合憲とする
・しかしその後は連邦のニューディール関連法に対しては違憲判断が多数となる
→大統領と最高裁の争いへ

・ローズベルトのコートパッキング・プラン(最高裁の判事を新たに任命する)→廃案

・判事の交代などとあいまってコートパッキング・プランの廃案後にはニューディール
政策の法案がすべて合憲となる判決が出る

■第二次対戦と大統領権限

・ドイツのポーランド侵攻
→可能な限り中立にいて英仏支援をすることを望む

・日系移民の強制収容
→フレッド・コレマツ事件

・山下戦犯裁判と戦争権限

■冷戦の始まりと思想・言論の自由

・暴力による政府転覆思想の違法性を定めている
→ドウズ事件とデニス対合衆国事件

■冷戦と人種差別

■ウォレン・コート
弱者保護や平等に重点を置く最高裁の呼称

■今日の連邦最高裁
レンクイスト・コート
共和党の任命による者が多いが、進歩的な判事も任期が長い
妊娠中絶の権利、フェデラリズムとの関係

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